「駅徒歩20分」「70平米」で家賃30万円 “ゴーストタウン”報道も相次ぐ「晴海フラッグ」の賃料は妥当か
晴海フラッグを巡る報道が過熱している。当初は抽選倍率〇〇倍といった話題や、大きな転売益を得た事例など、その人気ぶりにフォーカスした内容が多かった。ところが最近は、「夜になると人通りもまばらでゴーストタウンのよう」といった話や、転売益や賃料収入を当て込んで物件を買った法人名義の購入者が苦戦を強いられている、といった“下げ記事”が目立つ。不動産のプロはこうした状況をどのように見ているのだろうか。前編に続き、不動産ナビゲーターの渕ノ上弘和氏に聞いた。 【写真を見る】最近の「夜の晴海フラッグ」の光景 “ゴーストタウン説”は本当? (前後編の後編) ***
NHKのキャンペーン報道
晴海フラッグの“負の側面”を伝える記事の中で、特に注目を集めたのがNHKの一連のキャンペーン報道だ。 ・晴海フラッグ 法人所有4分の1以上の街区も 投資目的の実態は ・晴海フラッグ 2割近くが賃貸や転売 “マネーゲームの場に” ・元選手村「晴海フラッグ」 3割以上の部屋で居住実態確認できず ・晴海フラッグ投資目的所有 東京都“施行者は販売関与できず” 不動産ナビゲーターの渕ノ上弘和氏は、NHKの報道についてこう指摘する。 「すべてが間違いだとは思いませんが、いささか“角度”をつけた内容にも思える。冷静な視点も必要では」 例えば、3割以上の部屋で住民票の登録がなく、居住実態が確認できていないという報道。これには、晴海フラッグという物件の性質や、大規模物件特有の事情が関係していると話す。 「晴海フラッグの購入者には、マンションを買うのが“2回目以降”という層が一定数いると見ています。近年の物件価格の高騰で、一時取得したマンションで多額の“含み益”が生じている人も多い。また、晴海フラッグの販売価格は市況価格よりもかなり安かったため、購入者の中では“買い替え”ではなく、もともと住んでいた物件を売却せず“ダブルローン”を組んでいる人もいるのでは」(渕ノ上氏) そうした人たちは急いで引っ越しをする理由がなく、いま住んでいる物件を賃貸に出すのか、売却するのか検討中という可能性も考えられるという。 「かなり規模の大きな物件ですし、街開きと同時にマンションがいっぱいになる方が考えにくい。つい最近、晴海フラッグの向こう岸から写真を撮ったのですが、明かりのついた部屋は一定数あった印象です」(渕ノ上氏)
【関連記事】
- 【前編を読む】「マンション価格」高騰で「賃貸物件」はどうなる? 専門家が明かす“特に賃料の値上がり幅が大きい”タイプの部屋とは
- 日銀「ゼロ金利解除」でマンション価格が“暴落”? プロが明かす「価値が落ちやすい物件」と「落ちにくい物件」
- 「築50年」マンション建て替え「10年奮闘記」 住民が愛着あるマンションの将来を直視せざるを得なくなった“非常事態”とは?
- 「築50年」老朽化マンションの売却益がまさかの“6000万円”! 10年かけて住民の合意にこぎつけた「再生プラン」とは?
- ついに住宅ローン「変動金利」が上昇へ! 住信SBIネット銀行が「短プラ0.1%アップ」でも、専門家が「いまこそ変動金利を有効活用すべき」と語る理由