SNS型投資・ロマンス詐欺 被害拡大 福島県内 1~3月被害3.3億円 昨年1年間を上回る
SNSで知り合った女性から投資を持ちかけられ、約250万円をだまし取られた会津地方の70代男性が福島民報社の取材に応じた。「怪しいと思うことはあったが、だまされているとは気付かなかった」。スマートフォンを通した巧妙な詐欺の手口を証言した。 ◇見知らぬ美女 今年1月、フェイスブックに面識のない女性から友達申請が届いた。台湾出身で東京在住のファッションデザイナー。一度は申請を断ったが、「女優さんのようなプロフィル写真」に後ろ髪を引かれ、再び届いた友達申請を承認した。 程なくして女性からLINE(ライン)で連絡を取り合わないかと打診された。女性は春節(旧正月)で台湾に帰省中だと言い、食事や趣味のヨガの様子を撮った写真などを1日に何度も送ってきた。たわいもないやり取りを重ねるうち、「俺みたいな老人を相手にしてくれるのか」と親近感を抱くようになった。 「実際に話してみたい」「会いたい」との思いが募り、自身の携帯電話番号を伝えた。でも、女性は番号を教えてくれなかった。
◇甘い誘い 連絡を取り合い始めてから約3週間。女性はLINEで「フィリピンの女の子など支援を必要としている人を助けるため、姉と一緒に投資して利益を上げるたびにお金を(フィリピンなどに)送る習慣がある」と切り出し、金(きん)の投資サイトを紹介してきた。姉が米ニューヨークで金融会社を経営し、投資の専門家だと説明した。 「姉の指示に従えば安定して利益が出る」「新型コロナの影響で経済が衰退する中、金は安定性と保存特性がある」と力説された。 ◇短期間に何度も 「少額なら…」。勧められた投資サイトにスマートフォンでログインした。2月27日、指定された個人名義の口座に地元の地方銀行から5万円を振り込むと、すぐにサイト上に4万円以上の利益が表示された。一方で「振込先が知らない男性の個人名義の口座なのはなぜか」と疑問に思った。指定された振込先は宮城県の都市銀行支店だった。 1カ月後の3月26日。「50万円ぐらいなら損してもいいか」と、今度は45万円を振り込んだ。振込先は1回目と違う熊本県の都市銀行支店で、受取人名も変わっていた。投資サイトの画面には数十万円の利益が表示された。「一瞬でこんなにもうかるなら、まともに働くのがばかばかしくなる」。そう思った。