SNS型投資・ロマンス詐欺 被害拡大 福島県内 1~3月被害3.3億円 昨年1年間を上回る
その後、投資サイト上で「4万ドルないと取引は続けられない」と通告された。指示に従い3月28日、85万5千円を振り込んだ。この時点で画面上の利益は600万円を超えていた。 利益を払い戻そうとしたら、「円とドルを両替するために手数料がかかる」と言われた。「両替でこんなに高額な手数料がかかるのか」といぶかしんだが3月29日、116万9250円を振り込んだ。指定されたのは静岡県の都市銀行支店で、受取人名はまた違っていた。「利益を確保するためなら」。抵抗感はそれほどなかった。 ◇大切な老後の資金 4月1日、口座変更に伴う保証金として今度は146万1450円を要求された。地方銀行の窓口で振り込みをしようとした時、対応した男性行員が言った。「それは詐欺の手口ですよ」。警察官が駆け付けて初めて、「だまされていたのかもしれない」と悟った。 だまし取られた計約250万円は老後の資金としてためていた大事な金だった。「お金はもう戻ってこないのか…。だまされた自分に腹が立ってくる」と悔しがる。ただ、女性は実在しているのではないかとの思いも消えない。被害判明後も女性から来たメッセージに返答したという。
被害金を取り戻すため、弁護士に相談するか検討している。いろいろなことが信じられなくなった。 ■偽りの信用・信頼 県警本部が注意呼びかけ SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の共通点は、非対面の交流サイト(SNS)上でのやりとりで築かれた偽りの信用・信頼を土台にしている点だ。著名人や有名証券マンらが投資サイトに関与しているようにかたったり、男女間の恋愛感情につけ込んだりして詐欺被害の判明を遅らせ、多額の金銭をだまし取っている。 県警によると、SNS型投資詐欺の被害イメージは【図】の通り。 県警本部生活安全企画課の担当者は「投資話や暗号資産のもうけ話は相手が登録業者かどうかを金融庁ホームページで確認する」「投資話で振込先口座が個人名義であれば詐欺を疑う」などと注意を呼びかけている。県警はSNS型詐欺の啓発動画を作成し公式チャンネルで配信している。