「心が折れる」という言葉を作ったのは神取忍だった。発言の背景には「怪我をさせたらダメ」という前提が
心が“折れない”ようにする秘訣
社会における仕事の多くは、経験と知識を積みコツをつかんでいくことで上達していく。しかし、神取氏が身を置くスポーツの世界は加齢による「衰え」と向き合わなければならない。まさに、心をどう持っていくかが大事になる世界といえる。 「心技体でいうと『体』が衰えてくるわけだから、心と技を高めていかないと続けられないじゃない。戦う『間』って、がむしゃらにやってる若い時にはわからないけど、ベテランになってくるとわかってくるんだよね。この『間』の理解と使い方って『技』にも見えるけど、『心』の変化でできていくという部分もあるからね」 技に見える部分にも心が必要であることは、長年の経験からくる深い見識。では、衰える自分と向き合う心を保つ秘訣はあるのか。 「去年までできていたことが、今年できなくなったとしたら、へこんだり悩んだりするじゃん。でも年をとれば衰えるのって、当たり前だよね。衰えを認めたうえで、『今できること』をしっかり見つめることが大事。そのためには『ありのままの自分を受け入れる』ってことだね」
「チャレンジ」すれば人生は変わる
心の重要性を語る神取氏。メンタルトレーニングはしているのだろうか。 「筋トレをしていて『もうダメだ!』と思ったところから、あと5回チャレンジするとか、組手でも『限界だ!』と思ってからあと2本チャレンジするとかね。それで心は強くなっていったと思ってる」 この回答からも分かる通り、神取氏は各所で「チャレンジ」という言葉を使う。格闘技を志す人だけでなく、誰にとってもチャレンジは大事だという。 「チャレンジすれば、自分では気がつかなかった、才能や可能性や興味を見つけられるよね。だから、人に勧められたもので最初は興味なくても、まず飛び込んでみるということをしてほしいって思ってる。それに、『ちょっと気になるな』と思っていて手を出さなかったとしても、そこで一歩だけチャレンジしてみると、本当に人生が変わると思うんだよね」