【試乗】ヒョンデ・コナに攻めた見た目の「N Line」が追加! 高速の乗り味に改善点はあるも日本にマッチした使い勝手と走り
見た目はスポーティだが乗り味はマイルド
システムを起動しステアリングコラム右手のダイヤルレバー式シフトセレクターをDにセットすれば走行可能だ。ちなみにウインカーレバーも右側にあり国産車と同じレイアウトなのはありがたい。 ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツから選択でき、デフォルトはノーマルだ。その選択はセンターコンソールのダイヤル式スイッチで行う。スポーツを選択するとスロットルレスポンスが向上しトルクピックアップが鋭くなるが、ステアリングやサスペンション特性は変わらない。一方、エコでもドライバビリティは大きく変化しないので市街地、一般道ではノーマルモードがお勧めだ。 タイヤは19インチの韓国製クムホ・エクスタPS71を装着。スポーティな見た目の割に乗り味はマイルドで市街地では快適だ。 高速道路に入り車速を上げてみると、今度はロードノイズとハーシュの強さが気になってきた。19インチで235/45というサイズを考慮すれば想定内。むしろ市街地が快適すぎたということだ。 路面の継ぎ目が連続する場面ではあることに気がついた。それはシャシー剛性のバランスだ。コナは同じシャシーでガソリン、HV(ハイブリッド)、BEVとバリエーションを展開している。国内にはBEVのみの設定だが、じつはグローバルではガソリンエンジン搭載車もある。そのサスペンションまわりを共有しているとなると、足まわりと車体フロア剛性がアンバランスになる。というのはBEVのフロアには64.8kWhのバッテリーを搭載している。このバッテリーの安全を担保するため、耐振動や耐衝撃強度を高めなければならない。 一方、クルマのシャシーはサスペンション機構とフロアが適度にいなし合いながら捻れ、曲げ、振動特性を連携し合っている。どうもコナ N Lineはサスペンションが受けて伝える振動や衝撃を堅牢なバッテリーハウジングが遮断してしまうので、力が分散されずにそのままサスペンションマウントに返されてしまうようだ。 そのため、段差や継ぎ目ではハーシュがスムースに収束されず、一旦増強された衝撃がドライバーに伝わってくる。それが前後サスペンションで位相がずれて起こるので快適性が損なわれやすい。BEV専用シャシーならサスペンションピックアップとバッテリー内臓フロアの連続性が得られるのだろうが、ほかのパワートレインと共有する場合は起こりやすい特性といえる。パワートレインの選択肢は増えるが、デメリットもあるということだ。 リヤシートは広く、全席シートヒーター装備でラゲッジスペースも広くパッケージングや装備は充実している。 今後はNブランドの認知度を高め、ブランドイメージを正しく構築するために、国内でのモータースポーツ活動推進にも期待している。
中谷明彦