リスクヘッジするか、攻めるか…投資のプロに聞く目的別「オルカン」と持ちたい「もう一つの投資信託」
「オルカン」だけでいいのか…?
ウェルスアドバイザー「投資信託への資金流出入速報」(’24年5月)によると、’24年4月の国内の株式投資信託(ETF除く)の資金流入は1兆5379億円。4ヵ月連続で1兆円を超えています。 【オルカン・S&P500との組み合わせに】楽天証券の中の人おすすめ「日本株アクティブファンド」は 純資金流入額上位25ファンドのうち17ファンドが国際株式型であり、トップは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(以下、オルカン)が1813億円の資金流入です。オルカンは、6ヵ月連続で全ファンド含め流入超過額トップとなっています。 今回は、そんな人気の「オルカン」に投資するだけで良いのか、一緒に考えていきたいと思います。 ◆そもそも「オルカン」とはどんな投資信託? オルカンこと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、日本を含む全世界の株式市場の動きに連動する投資成果を目指して運用される全世界株式インデックスファンドです。 日本を含む世界の先進国23ヵ国・新興国24ヵ国、約3000の大型株で構成された株価指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」(MSCI ACWI)への連動を目指します。全世界の株式市場カバー率は85%となっています。 オルカンの運用開始は’18年10月31日であり、本稿執筆時点(’24年5月23日)で運用から5年半が経過しています。純資産総額は3兆4484億円[’24年5月23日時点]、5年リターン(年率)19.66%[’24年5月17日時点]と、投資から順調にお金が集まり、堅実に利益を出せていることがわかります。 人気の秘訣は、保有中のコスト「信託報酬」が年0.05775%と最安水準であること。実質的に投資家が負担する総経費率(’22年4月26日~’23年4月25日)は、0.15%と低水準を維持しています。なお、信託報酬が年0.05775%となったのは、’23年9月8日からです。 また、オルカンには純資産総額が増えると投資家が実質的に負担する信託報酬率が少しずつ下がる「受益者還元型信託報酬」の仕組みも用意されています。 ところで、オルカンが連動する世界株価指数「MSCI ACWI」は、次の地域に資産を分散しています。 全世界株とあるので、全世界株に均等に投資していると思われた人もいるかもしれませんが、実際はグラフのとおり、米国だけで約6割を占めています。米国株の配分が多いということを知らない人も意外と多いので、覚えておきましょう。 米国株が多い理由は、米国が世界経済の中心で長らく成長してきたからです。米国が今後もずっと成長を続けるという保証はありませんが、オルカンでは米国以外の先進国・新興国も約4割組み込んでいるので、米国だけに集中するよりも分散投資効果が期待できます。 とはいえ、米国株の割合が多いのは事実です。 読者の中にはリスクヘッジをしたいと考えている人がいるかもしれません。