2024年の「ゼロ・エミッション商用車」の現在地は? 欧・米・中の世界三大市場を俯瞰する!
欧州 – 大型トラックの約1%強
商用車の電動化で世界をリードしているとされる欧州(EU27カ国)は、2024年第3四半期にZEV大型車の販売台数が2900台弱だった。内訳は大型トラックが700台、中小型商用車が1000台、バスが1200台だ。 前期の販売台数が4200台だったので、市場自体が縮小した。販売シェアは4.1%から4.0%に微減だった。これは、ZEVバスのシェアが18%から14%に縮小した影響で、大型トラックでは1.1%から1.2%に、中型トラックでは9.9%から10.4%にやや拡大している。 欧州の主要市場では景気減速からトラック販売台数の減少が顕著で、ドイツでは40%、イタリアでは38%減少した。EU全体では32%の減少で、過去2年間の四半期として最低の販売台数だという。 欧州の大型車市場シェアはメルセデス・ベンツ(20%)、MAN(14%)、イヴェコ(13%)、ボルボ(12%)、スカニア(12%)、DAF(10%)、ルノー(7%)の順で、前年とほとんど変わっていない。 大型車販売台数の75%を占める大型トラックのうち、1.2%に当たる700台がZEVだった。販売台数は前の四半期より25%の減少だが、市場全体が32%縮小しているため、販売比率は拡大した。なお、前年比では42%の増加となり、登録台数も前年を上回るなど、電動化というトレンド自体は継続している。 ZEV大型トラック市場ではボルボがトップメーカーの座を維持したが、市場シェアは43.5%から36%に低下した。ボルボと同グループのルノーがシェア32%で後を追っている。メルセデス・ベンツのシェアが13%で3位だった。また、わずか5カ国(ドイツ、フランス、オランダ、スウェーデン、デンマーク)でZEV大型トラックの販売台数の86%を占めている。 中・小型トラックは販売台数では大型車全体の12%を占め、そのうち10.4%がゼロ・エミッションだった。市場全体が縮小したにも関わらずシェアは増加し、前年同期と比べると販売台数は47%増えた。 また、ゼロ・エミッションの中・小型商用車で長らくトップセラーの地位にあったフォード「Eトランジット」はシェア23%に減少し、トップの座をイヴェコ「eデイリー」(同40%)に譲った。メルセデス・ベンツ(約15%)や三菱ふそう(10%弱)のほか、中国メーカーも一定のシェアを獲得している。