「キャリアの挫折」の衝撃を和らげるための事前準備
■キャリアでつまずいた時のために代替プランを用意する 「もし~が起こったらどうするか」は、キャリアコーチとして筆者が行う面談でよく用いるテーマだ。コーチングは、キャリアの次のステップに上がろうとする際の機会と障害の両方について率直に話せる安全な場、セーフスペースを提供する。ここ数年の経験から鑑みるに、障害は山のようにある。 内定を得たが、会社のリーダーシップの交代や採用凍結など、不測の事態によって後から内定が取り消される。予告のあるなしにかかわらず、レイオフや一時解雇される。財務実績、業界における何らかの急激な展開、さらには法律や規制の変更など、不確定要素による突然の変化によって、昇進の約束を反故にされる。しかも雇用は、米国のほぼすべての司法管轄区域において、「自由意志に基づく」と定められている。つまり、雇用主(および従業員)は、通知の有無にかかわらず、合法的な理由があれば、いつでも雇用関係を終わらせることができるのだ。 キャリアでつまずいても、あらかじめフォールバックプラン(予備の計画)を立てておけば、冷静に対処できる。このような代替プランは、けっして失敗の証ではない。いざという時に思い出し、実践できる、事前検討済みの対応策である。最悪のシナリオを想定した予備計画を立てることで、目標に向かって迷いなく突き進めるようになると同時に、万全を期しているという安心感を得ることができるのだ。 本稿では、キャリアの挫折に備えて、代替プランを作成する方法を紹介する。 ■1. 最悪のケースは何かを特定する この先のキャリアの中で、思いがけず大きな挫折に直面することもあるだろう。最悪のケースを考えるのは、あなたを尻込みさせ、慎重にさせるためではない。これは、最悪の事態が起こった場合に、その困難にどう対処するかを、冷静かつ戦略的に考えるための、1回限りのエクササイズだ。自分の可能性に胸躍らせ、落とし穴を避けるためのセーフスペースである。