“誰も人助けをしない未来”になった理由が恐ろしい…。ショートホラー「じんさい」に「ありそうな世界観で怖すぎ」の声【作者に訊く】
猛烈な暑さの日が続く今年の夏。ウォーカープラスではそんな夏にぴったりな、ホラー漫画を特集。今回は、誰でもない( @daredemonaidare )さんの創作作品「じんさい」を、作者の誰でもないさんのインタビューとともに紹介したい。 【漫画】「じんさい」本編を読む ■本当に怖いのは一体…?考えさせられる短編ホラー ショートホラーを中心に、漫画作品をWEB上で公開している誰でもないさん。「リリースレッド 怪異の起こる街」や「かい猫ミーに出会ったら」など書籍化された作品もあり、SNSを中心に人気を集める作家だ。 今回紹介する「じんさい」は、肩がぶつかった拍子に荷物が道に散らばった女性が、道行く人すべてに無視された――という出来事を振り返るところからはじまる。 話を聞いて「一人ぐらい助けてくれてもいいのに!!」と憤慨する友人に、女性も「冷たい世の中になったもんだ…」と溜め息。 自分が逆の立場なら「(私だったら絶対助けるのに)」と思っていた女性は後日、路上でうずくまる黒髪の女に「大丈夫ですか?」と声をかける。だが、黒髪の女は立ち上がるや否や仰向けに倒れ、助けようとした女性を指差し「この人に突き飛ばされました」と絶叫し――、というストーリーだ。 ■“一つの状況から無数の展開を”アイデアの発想法 4ページの中に急展開が詰まった漫画で、結末では怖さの根源がどこにあるか、また「じんさい」というタイトルの意味が明かされる同作。読者からは「怖い話」という反響とともに「ありそうな世界観で怖すぎ」「考えさせられる」という声も多く寄せられた作品だ。 ホラーを中心に、さまざまなオリジナルの漫画作品を発表する誰でもないさん。そうした創作活動のきっかけは、とある漫画の二次創作パロディだったそうで、その形式もストーリー漫画ではなく4コマだったと話す。 「恐ろしいくらいウケなかったのですが、描いていて楽しかったんです」と当時を振り返る誰でもないさん。その後はオリジナルの作品を制作するようになり、『夏の探し物』というタイトルの作品が、初めて4ページで描いた漫画だったという。 「ある男が、落とし物を拾ったことがきっかけで姉妹が偶然再会するという内容のものでした。これもあまりウケませんでしたが」 現在では読者の意表を突くストーリー展開や結末が人気を博す、誰でもないさんの作品。アイデアを生み出す上で、定番の発想法を持っているか質問した。 「一つの状況・シチュエーションを思い浮かべたあと、そこをスタート地点に、その後どう展開するか色々なルートを模索するというやり方が定番です」 また、普段はあまりないものの、上記の考え方ではないところから生まれた作品もあると教えてくれた。 「『宝石堀り』という作品は、ネット上で有名な画像をヒントに考えたお話で、自分の作品では意外な形で生まれたものと言えるかと思います」 とは言え、出る時は出る、出ない時は出ないのが閃きというもの。最後に、誰でもないさんの中で漫画のネタが生まれるタイミングはどんな時か聞いた。 「机に向かい『漫画を描くぞ!』となったときが一番です。筋トレやシャワーを浴びているときにもいいアイデアが浮かんだりします」 取材協力:誰でもない(@daredemonaidare)