スチールプランテックと東北大、水素還元のDRI溶解で共同研究
製鉄プラント会社のスチールプランテック(SPCO、社長・若原啓司氏)は28日、東北大学と共同で、水素を活用して製造する還元鉄(DRI)の溶解技術について共同研究を始めたと発表した。水素によるDRIは鉄鋼業の脱炭素化につながる新しい製鋼原料として関心が高まっている。効率的に溶解するための条件を見いだし、将来的にプラント製品の開発につなげる。 高温物理化学を専門とする東北大学の村上太一教授と共に24~25年度の2年間にわたり研究を推進。SPCO側は「CN(カーボンニュートラル)プラント室」を窓口に大学側と連携する。 水素だけで還元するDRIは、現在の天然ガス還元によるDRIと異なり、製造時の直接的な二酸化炭素(CO2)排出がないため製鉄プロセスの脱炭素化につながる。政府のグリーンイノベーション(GI)基金事業などでもこれを電気炉で活用し、製鋼するための技術開発が進められている。 ただ一般的に水素によるDRIを用いた場合、製鋼効率が下がる可能性などが指摘されている。DRIと異なり、鉄の融点を下げる炭素分の含有率がゼロになるためだ。 今回の共同研究で両者は、こうした材質の違いに着目し基礎研究を推進。まずは実験室レベルの研究からスタートし、成果をみながら規模を広げることを検討する。