「地下水は酒蔵の生命」北陸新幹線ルート選定前に京都の酒造業者ら要望
北陸新幹線の敦賀(福井県)―新大阪延伸を巡り、京都府酒造組合連合会と伏見酒造組合は2日、府と京都市に対し、酒造りに利用する地下水に影響を及ぼさないルート設定を求める要望書を提出した。連合会の大倉博会長は「酒の品質は地下水の水質に大きく左右される。慎重なルートの選定をしてほしい」と述べた。 未着工の敦賀―新大阪間に関し、国土交通省は8月、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)に対し、工期や建設費への影響が大きい「京都新駅」の位置を記した3つの詳細ルート案を提示。京都新駅の位置は、①京都駅南側の東西(東西案)②京都駅南西側の南北(南北案)③京都駅から南西約5キロのJR桂川駅近く(桂川案)―とされ、いずれもホームは地下に設けられる。PTは年内にも1案に絞り込むとしている。 要望で団体側は、想定される新幹線のトンネル深度が、多くの酒蔵が使用している井戸の深度40~100メートルと重なる場合があると指摘。「地下水は酒蔵の生命」とし、「ルートによっては地下水の品質に影響を及ぼすばかりか、地下水脈の遮断、井戸の枯渇まで危惧される」と危機感を示した。 大倉会長は「今の時代のわれわれが水をしっかりと守り、次の世代に引き継ぐことは使命だ。今後もいろいろな形で努力をしていきたい」と述べた。要望書を受け取った武田一寧副知事は「要望を重く受け止め、対応を検討していきたい」と応じた。(入沢亮輔)