ドラゴンクエスト生みの親、堀井氏「自分の人生の主人公は自分しかいない」
ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」が誕生して今年で30周年を迎える。この夏には、ゲームの世界を再現したショーなど、各種の記念イベントが企画されており、ドラゴンクエストの生みの親であるゲームデザイナー・堀井雄二氏は、「人生で一番の遊びは別の人生を体験すること」だとエンターテインメントの本質について語った。
ドラクエの世界を再現したショーは7月上演
「ドラゴンクエスト」は、1986年5月27日に第1作目が発売。「ブームは10年で終わるとよく言われますから、30周年を迎える時が来るとは考えもしませんでした。最初のゲームは、確か4~5か月で作ったと記憶しています。ドラゴンクエストIVからは、『期待に応えなければならない』というプレッシャーが常にありました」と振り返る。 そのプレッシャーを跳ね返すように、これまでにシリーズ累計6600万本以上を出荷した。ここまで支持された理由について、堀井氏は「あたたかくて安心できる世界を作れたこと、気軽に遊べることが要因でしょうか」と分析する。 そんなドラクエの世界を再現したショー「ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー」が7月に上演される。第一作につながる勇者ロトの誕生を描いた作品で、最新の映像テクノロジーとトップパフォーマーのパフォーマンスを融合。埼玉や横浜など全国5か所で上演される予定で、観客も、ただ観ているだけではなく、さまざまな場面でショーに参加できるという。 堀井氏は、「一観客として、ドラゴンクエストの世界がいかに再現されているのか、大変楽しみにしています。素晴らしいクリエイターの方々がスタッフに加わっていますし、ぜひ見に行きたいですね。それも、可能ならば全国の会場へ。やはり、土地ごとに反応が違うと思いますから」と期待を寄せる。
ショーとゲーム、エンターテインメントの本質とは
ショーとゲームでは、一見、エンターテインメント性が異なるようにも思えるが、その共通点は、「参加性」にあると堀井氏は言う。「ロールプレイングゲームは参加型のゲームと言えますし、こうしたライブのショーも参加して場を共有する楽しさがあります。人生で一番の遊びは別の人生を体験することだと考えています。例えば、映画も小説もゲームも、そしてライブも同じです」。 作品のアイデアは、散歩している時やテレビを何気なく観ている時に浮かぶことがあると話す。端からは、ポケッとしているように見えるかもしれませんが、頭の中はフル回転状態です」と作品づくりのシビアさものぞかせる。 エンターテインメントの制作者に必要な資質を尋ねると、「作り手でありながら、同時に受け手の立場にもなって楽しさを感じられる部分を持っていることでしょうか。作り手は、しばしば『この作品はすごいだろう』と高いプライドを持っていたりするのですが、受け手の方は得てして『こんなの見たくないよ』とか思ってたりすることがあります」と答えた。