野村HD、税前利益5000億円超と倍増へ-成長分野に経営資源配分
(ブルームバーグ): 野村ホールディングス(HD)は14日、投資家向けの事業説明会「インベスター・デー」を都内で開き、2030年に向けた経営ビジョンを発表した。成長分野に経営資源をより振り向け、2031年3月期に税前利益5000億円超と前期(24年3月期)実績比でほぼ倍増に引き上げることを目指す。
奥田健太郎社長は「好調なマーケットの後押しもあり、今期は前期以上の成果を出す重要な一年と位置付けている」とした上で「こういう時だからこそ将来に向けた布石、次の収益源となる新たな取り組みを立ち上げなければならない」と語った。
野村HDでは市場環境を追い風に富裕層中心の体制に強化した国内リテールで成果が出始めており、機関投資家向けビジネスでは日本関連の投資銀行業務や米国での金利ビジネスを中心に業績が回復傾向にある。一方、株価純資産倍率(PBR)は1倍を割り込んだままで、投資家はさらなる業績改善を求めている。
市場からの注目も高い株主資本利益率(ROE)について奥田社長は「8-10%以上の安定的な達成を目指す」とした。前期実績は5.1%で今期に8ー10%の達成目標を掲げている。
資本を要せず安定的に収益を生むビジネスについては着実な成長を図る一方、より多額の資本を要するビジネスの主体であるホールセール部門については「セルフファンディングを基本とした自律的成長を目指す」と説明した。
具体的には、インベストメント・マネジメント部門では運用資産残高を積み上げ、安定収益を拡大する。企業の合併・買収(M&A)などの資本投入も視野に入れ、税前利益1000億円規模を目指す。
ウェルス・マネジメント部門では資産管理型ビジネスの深化による収益機会を追求し、富裕層顧客の基盤拡大を図る。富裕層ビジネスにおいては「銀行機能は大変重要」として、傘下の野村信託銀行を強化し、バンキングが第4の部門となるべくグループ内の連携を強化するとの考えも示した。