吉沢亮の面白CMのウラに東北復興への思い…「いったい何屋さん?」アイリスオーヤマがお米に手を出した背景
■「何屋さん?」は誉め言葉、手広い商品展開が能登支援にも生きた
被災の経験から、同社は今年1月の能登半島地震への支援も速やかに実施。発生2日後の1月3日には、天然水にカイロ、ブルーシート、簡易トイレを、15日にはエアーベッドを提供した。その後も、パックごはんや応急仮設住宅向けの家電などを提供している。もちろん、全国の大企業が支援に動き、様々な物資を被災地に運んでいたのは報道でも知られているところ。だが、ここまで支援に適したバリエーション豊かな物資を、早急に届けられたのにはワケがある。 「自社アイテム中心なのですが、現地自治体と連携して必要なものを聞き取って、お役に立ちそうなものをお届けしました。これらは自社の物流倉庫の在庫やグループにホームセンターもあるため、いろいろなフローをショートカットできて早くお届けすることができました」 以前から、「アイリスオーヤマはこんなものまで扱っているのか」と驚かれ、「いったい何屋さんなの?」と言われてきたが、まさか被災地支援でそれが生きるとは。 「『アイリスオーヤマって何屋さん?』とはよく言われますが(笑)、誉め言葉だと受けとめています。変わっていく世の中に順応してニーズの高いものをすぐに作り、生活者の皆様の助けになれたらというのが一番の思い。ですから、これからもひとつの業態に絞ることは絶対にないですし、社会の変動と一緒に変わっていく。毎年約1000アイテムの新商品を販売しているので勉強するのは大変ですが、やりがいを感じています」 社会変化に対応といえば、コロナ禍ではマスク不足を受けて、同社が早い段階で国内にも生産設備を整え、商品を供給したことも話題となった。社長直結の素早い決済や、工場の稼働率をあえて7割稼働に抑え、市況の変化に合わせてレイアウト変更や設備投資ができるようにしていることなどが、スピーディーな対応を可能にしているという。 災害やコロナ禍など、社会の危機に素早い動きを見せてきた同社。万が一何かが起こっても、あの要正直が不敵な笑みを浮かべながら手を貸してくれると思えば、少しばかり安心できるというものだ。 (文:河上いつ子)