多頭飼育の繁殖場から救出されたシェットランド・シープドッグ 気になる腫瘍 「たとえ悪性であっても受け入れます」里親希望者の決意は揺るがなかった
2023年秋、熊本県内の山中に多頭飼育されている繁殖場がありました。一時は100匹を超える頭数で、どのワンコも適切な世話がなされているとは到底言えない状況でした。それでも経営者は小屋を「シェルター」と言い張り、劣悪な飼育を続けていました。 【写真】保護当初のスズカの体は痛々しい状態でした 地元の個人ボランティアが経営者と何度も交渉を重ね、向こう2年ほどでの廃業の約束を取り付けました。また、順次この繁殖場からワンコたちを保護することも合意に達し、まずは20匹の命を救うことに取り付けました。
保護した20匹のうち特に健康状態が悪かったスズカ
個人ボランティアは横のつながりを使って九州エリアはもちろん、各地の保護団体と連携。保護した20匹の命を各団体に託しました。 20匹のうち、特に健康状態が悪かったシェットランド・シープドッグのシニア犬・スズカは、福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)が引き受けることにしました。 重い皮膚病を抱え、毛は抜け落ちボロボロ。お腹に大きな乳腺腫瘍がありました。はぴねすのメンバーは保護後、すぐに体をきれいにして、動物病院で検査をした後、手術を実施しました。
口元のデキモノが悪性腫瘍の可能性も…
スズカははぴねすのメンバー宅で過ごすようになりました。保護から半年ほどでみるみる体調は改善され、合わせて自我も出すようになり、メンバー宅にいるワンコにはちょっかいをかけ始めるほど元気になってくれました。 この間、はぴねすに別のワンコの里親希望の申し出をした山梨県のHさんという方がいました。お目当てのワンコは別の里親さんの元で幸せをつかむことになったことを受け、Hさんはスズカの里親希望を申し出てくれました。 「良かった。元気になってくれたスズカが、ついに幸せをつかむ日が来た」とメンバーは喜びましたが、この時期、スズカの口元にあったデキモノがどんどん大きくなっていき、まずは切除を実施しました。ところが、このデキモノは悪性腫瘍である可能性もあるという診断で、病理検査へと進むことになりました。