DeNA小園健太が振り返るほろ苦一軍デビュー 「登板前日は眠れなかった」親友からは辛口エール
小園健太~Aim for the ace of the Baystars 第2回 ふと気がつくと、四方八方から歓声が雨のように降ってきた。それが重圧となって、いつしか小園健太はリズムを失った──。 【写真】横浜DeNA・パフォーマンスチーム「diana」厳選カット集(38枚) 4月10日の横浜スタジアムでの中日戦、3年目の小園はプロ初登板を果たした。先発として一軍のマウンドを踏んだが、結果は2回 2/3を投げ5失点。チームも敗れ、悔しいデビュー戦となってしまった。 【自信がどんどん削られていくような感じ】 あれから約1カ月、小園は一軍のマウンドの難しさについて吐露した。 「シンプルに自信がどんどん削られていくような感じでした。少ない球数で投げることが自分にとって一番自信になるのですが、あの日は球数を重ねてしまって、テンポよくいかないなと思っているうちに、弱気のピッチングになった部分もあったので、やっぱりメンタルの部分の大切さを痛感しました」 試合後は落ち込みましたかと尋ねると、小園は苦笑した。 「だいぶ落ち込みましたね......」 そう言うと、畏怖の念を込め続けた。 「一軍っていうのはすごい場所なんだって感じました。洗礼ですか? はい、浴びましたね」 苦しい胸の内を語っていても、小園の眼は光を宿していた。また、あの場所に戻らなくてはいけない──。 小園がデビュー戦となる先発を首脳陣から言い渡されたのは、シーズン開幕前のことだった。「日にちは前後するかもしれないけど準備をしておけ」と。小園は心の中で「よし、行くぞ」とつぶやいた。その後、ファームで登板を重ねながら、その日を待った。コンディションは上々だった。 ただ、登板前日は高揚感からか眠りは浅かったという。 「オープン戦とは違って、シーズン中の横浜スタジアムは初めてでしたし、ベンチやブルペン、観客の熱気とか、どんな空気なんだろうと考えてしまいましたね」 当日は自分で車を運転して球場入りした。バッテリーミーティングで、後輩の松尾汐恩と組むことを知った。ファームで幾度となくバッテリーを組んできた松尾とのコンビということもあり、多くの言葉をかわす必要はなかった。