新薬レカネマブ、ドナネマブの効き目とは/医療ジャーナリスト・安達純子
「新薬登場で重要度が増す~認知症の早期発見と予防」<1> アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」(レケンビ点滴静注)が昨年承認され、今年9月には「ドナネマブ」(ケサンラ点滴静注)も承認された。いずれもアルツハイマー病による軽度認知障害と軽度認知症の進行抑制効果がある。 「2週間に1回の点滴治療で、アルツハイマー病で脳にたまるアミロイドβというタンパク質を除去する作用があります。すでに発売されているレカネマブでいえば、1年半の投与によりアルツハマー病の進行を半年程度抑制することが可能です」とは、筑波大学付属病院認知症疾患医療センター部長の新井哲明教授。認知症の早期段階に対するデイケアなどの治療で成果を挙げ、早期発見・早期診断・予防法などの研究も多く手がけている。 「レカネマブとドナネマブは、どちらもアミロイドβが脳にたまってかたまりになる過程に作用しますが、作用する段階が少し異なります。また、認知機能テストのMMSE(ミニメンタルステート検査)で対象となる点数の下限も若干違います」(新井教授) MMSEは30点満点の筆記テストで23点以下が認知症の疑いとされる。レカネマブの治療対象はMMSE22点以上が対象。一方、臨床試験段階でドナネマブはMMSE20点以上が対象だった。 「レカネマブの治療対象から外れた人の一部がドナネマブの治療対象になる可能性があります」(新井教授) ただし、認知症が進行して中等度以上になるといずれの治療も対象外になる。それだけに早期発見・早期治療がこれまで以上に重要になっている。