意外と知らない「一年草」ってなに?
『趣味の園芸』2024年3月号では、春からの園芸シーズンにおすすめの、花壇にも鉢植えにもうれしい即戦力「一年草」を大特集しています。植物は、さまざまな基準によって分類されますが、そのなかの一つが「一年草(いちねんそう)」と「多年草(たねんそう)」のライフサイクルによる区別です。園芸研究家の矢澤秀成さんに、「一年草」について教えていただきました。 一年草の植物(植物図鑑) >
そもそも「一年草」ってなに?
一年草とは、その名のごとく、1年以内に枯れてしまう草花。発芽してから1年以内に花が咲き、タネをつけて枯れる性質をもつ植物のことです。 花を楽しめるのはその年だけですが、成長のスピードがとても速く、短期間で鮮やかな花を次々と楽しめるなど多くのメリットがあります。 パンジーやビオラ、ニチニチソウ、マリーゴールド、ヒマワリなどは一年草の草花です。
「二年草」も聞いたことあるけど?
二年草は、タネをまいた最初の年は根を広げたり茎や葉を伸ばすのに専念し、冬を越した翌年の春や夏に開花、1年以上、2年以内に枯れる植物です。花が咲くまで1年以上の時間がかかりますが、大きく育って鮮やかな花を咲かせ、花つきがよいものが多いのが特徴です。ジギタリスやマツムシソウ(スカビオサ)などがあります。
一年草なのに、翌年も咲いた!?
一年草や二年草のなかには、本来原産地では多年草(宿根草)※でも、日本の暑さや寒さなどの気候に合わずに一年草として扱われる花もあります。例えばペチュニアは日本では冬越しできずに枯れる場合が多く、一年草として扱われますが、本来は多年草。上手に冬越しさせれば、多年草として育てることも可能です。 ※多年草(宿根草)・・・同じ株が枯れずに何年も続けて花を咲かせる植物のこと。 矢澤秀成(やざわ・ひでなる) 園芸研究家 種苗会社の育種研究室を経て、一年草などの育種をはじめ、全国の庭園監修。子どもたちに育種を教える「育種寺子屋」を主宰するなど多方面で活躍。 ●『趣味の園芸』2024年3月号 「意外と知らない一年草」より