【ラグビー】日本代表、ウルグアイに辛くも勝利。4試合ぶりのテストマッチ白星挙げるも、多くの課題浮かぶ
後半38分のCTBディラン・ライリーのトライでスコアの見栄えは大幅によくなった。しかしそこまでは絶えずプレッシャーに苦しみ、重いムードの中でもがき続けた。 世界ランキングで5つ下の19位のウルグアイを36-20で下した試合は、あらためてテストマッチで勝つことの難しさを感じさせるとともに、日本代表の厳しい現状が随所に浮かび上がる一戦となった。 この日の日本代表は立ち上がりからチグハグだった。イージーなミスや不用意なペナルティを連発し、甘いタックルからピンチを招く。7分にはラックサイドのオフロードであっさり裏に出られ、ウルグアイのNO8マヌエル・ディアナに先制トライを許した。 直後の10分、日本代表はラインアウト起点の連続攻撃でNO8姫野和樹が力強く前に出てトライを返す(5-7)。しかしその後も精彩を欠くプレーが続き、なかなかペースをつかめない。 ようやく次のトライが生まれたのは、お互いPGを加え8-10で迎えた32分だった。自陣からのBK展開で一気に40㍍近く前進し、テンポよくゲインを重ねる。最後は右大外でオーバーラップを作り、WTB濱野隼大がコーナーに仕留めた(13-10)。 この日初めてスコアで前に出た日本代表は、36分にもゴール前のラインアウトからスペシャルプレーでFL下川甲嗣が抜け出し左中間にフィニッシュ。これで勢いに乗るかと思われたが、39分に不運な判定でSH齋藤直人がシンビンに。この反則からPGで3点を追加され、18-13での折り返しとなった。 後半に入ってもすっきりしない展開は続いた。4分、ディフェンスのギャップを立て続けに突破され、FLルカス・ビアンキにフィニッシュを許す(G成功で18-20に)。 12分、ラインアウトモールからショートサイドを突いてWTBジョネ・ナイカブラがゴールラインを越え、23-20とふたたび日本代表がリードしたが、以降も単純なエラーが重なり、なかなか突き放せない。 PGを加え26-20で迎えた66分には、LOワーナー・ディアンズが危険なタックルでレッドカード。残り15分を14人で戦うという窮地に追い込まれる。 しかし、一連の流れからウルグアイにラインアウトモールでなだれ込まれながらもTMOによるトライキャンセルで九死に一生を得た日本代表は、そのプレーをきっかけに息を吹き返す。 NO8姫野の気迫を感じさせる突進から29分にSH齋藤がPGを加え、ワンチャンスでは追いつかれない9点差までスコアを広げると、38分には自陣22㍍付近で途中出場のLOサナイラ・ワクァが相手モールからボールを奪取。 すかさず外に振ってSOからFBに回った松永拓朗が大外を突破し、サポートしたCTBディラン・ライリーがインゴールへ駆け抜けた。このトライで36-20としてようやく勝負を決め、まもなくフルタイムを迎えた。 内容的には課題が多く目立つ試合となったが、慣れない海外でのテストマッチ、負けられないゲームというプレッシャーの中で勝利をつかんだことは、経験の浅いチームにとって意味のある財産になるだろう。9月15日のサモア戦以来、4試合ぶりとなる白星を挙げたことも、気持ちの面でプラスになるはずだ。 ゲームキャプテンを務めたSH齋藤直人は試合後のフラッシュインタビューで、「フランス戦に負けてから1週間、このウルグアイ戦だけにフォーカスしてきた。カードが2枚出て14人になる中でファイティングスピリットを持ち続けて勝てたことは、このチームにとって大きいと思う」とこの日の収穫を口にした。