博多駅ビルの再開発を聞いてJR九州に確認すると「門戸は開放している」…急いで「博多阪急」事業計画
博多阪急の運営会社「阪急阪神百貨店」を傘下に置く小売り大手エイチ・ツー・オーリテイリング(大阪市)の社長で、博多阪急の出店準備に取り組んだ荒木直也氏(67)に、開業までの経緯や今後の展望を聞いた。 【グラフ】博多阪急の総額売上高と入店客数の推移
――博多への出店の経緯は。 「経営改革で業績が急回復し、成長戦略に取り組み始めた時期だった。最初に大阪市の阪急本店の建て替えが決まったが、2005年春に博多駅ビルの再開発の話が聞こえてきた。JR九州に確認すると『門戸は開放している』ということだったので、急いで体制を組み、事業計画を考えた」
――どのような計画だったのか。 「『楽しい百貨店をつくる』とアピールした。社内では土地鑑のなさを心配する声もあったが、何度も足を運んで福岡の市場を分析した。出店決定後には博多大丸の元常務を特別顧問として迎え、地域社会への入り方を案内してもらった」
――傘下の国内百貨店で博多阪急の24年度の売上高は阪急本店に次ぐ2番目の大きさになる見込みだ。 「2番店になるとは思いもしなかった。福岡が非常に成長していることと、訪日客の増加の両方が寄与している。周辺には他の商業施設もできており、開業当時のかけ声だった『天神と博多の二つの核で』が現実のものになったと感じる」
高級ブランド衣料品の拡充準備中
――今後の改装計画は。 「準備している。開業時は若年層を意識したカジュアル路線で始め、17年の改装で高級ブランドを一気に増やした。今、高級ブランド品はバッグや財布が中心なので、今後は衣料品を拡充し、品ぞろえの奥行きをつける方向性になるだろう。次は総額売上高で800億円を目指すことになるとイメージしている」
◆阪急阪神百貨店=1929年に日本初のターミナルデパートとして大阪市・梅田の駅ビルに開業した阪急百貨店と、33年に創業した「阪神マート」を前身とする近くの阪神百貨店が2008年に合併して発足した。持ち株会社のエイチ・ツー・オーリテイリングの傘下にある。国内に15店あり、大半が関西に立地する。23年度の総額売上高は5736億円。