テスラが「地獄のような暴落」から急上昇!株価が10日で乱高下した3つの理由
EV最大手のテスラの株価が乱高下しています。業績悪化の懸念から7日連続で続落した後、マスク氏が発表した“新計画”で急上昇したのです。乱高下を起こした3つの理由と、今後の株価を左右する“新計画”は正解なのかを解説します。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) ● テスラの株価が「地獄のような暴落」から急上昇! 乱高下の要因は3つ 未来予測専門の経済評論家・鈴木貴博です。EV最大手のテスラの株価が乱高下しています。 直近でテスラの株価は7日連続で続落、株価は142ドルと年初から▲43%も下がっていました。中国のEVメーカーとの価格競争が激化したうえに、世界的にEVの失速が起きていると報道され、業績悪化が懸念されてきたからです。 その結果米国時間4月23日に発表した2024年1~3月期の決算は市場が予想した懸念の通り、非常に悪い業績数値になりました。 これまで毎年伸び続けてきた売上高は4年ぶりに▲8.7%の減収。純利益は約11億ドルでこれは前年比では半減以上(▲55%)の減益でした。そして今回の利益の減少は市場予想をも下回りました。 ところがこの決算発表でイーロン・マスクCEOが発表したひとつの言葉で市場は逆の反応を示しました。 それは、 「2025年秋発売としていた低価格車の計画を前倒しにする」 というものです。 この言葉に反応してテスラ株は夜間の時間外取引で164ドル近辺へと13%上昇します。いったいテスラに何が起きているのでしょうか。解説します。
● テスラがEV専業なのに高利益率だったのは 「高価格でも売れる車」だったから テスラがそもそもGAFAMと並ぶマグニフィセントセブンの一角に位置付けられていたのはEV専業メーカーでありながら利益率が驚くほど高かったことが理由です。 2022年1~3月期には営業利益率は19.2%とガソリン車メーカーよりも高かったのです。テスラ車は価格がガソリン車より高くても売れたから利益率も高くなったのです。 客観的に言えば世界のトップEVブランドであり、アメリカ、ドイツ、フランス、日本、中国などどこの国でも一番の販売力を持っていた企業です。そして主観的に言えばテスラの車は格好いいのです。 テスラで一番の普及モデルのモデル3という車種は価格は約530万円で、国や自治体の補助金を受けとれば実質420万円ほど(東京都の場合)になります。 日本車のちょっとした中級車レベルの価格なのですが、国産車と比べると(あくまで個人の感想ですが)エクステリアはスポーティーでインテリアは未来的。富裕層を中心に人気になるのはよくわかります。 そのテスラの株価は今年に入ってなぜ乱高下しているのでしょうか。3つの要因を順番に解説したいと思います。