少しずつ前向きに 能登半島地震1年、輪島で追悼式
●首相ら445人黙とう 能登半島地震の発生から1年となるのに合わせ、輪島市の日本航空学園体育館で1日、石川県主催の追悼式が営まれ、参列者が犠牲者の冥福を祈った。県内では地震で498人が死亡、奥能登豪雨で16人が犠牲となり、地震で父を失った小林由紀子さん(53)=穴水町川島=が遺族代表のあいさつで「支えてくれたのは地域の方々の温かい言葉だ。少しずつ前向きな気持ちになることができた」と涙ながらに語った。 【写真】地震発生時刻の午後4時10分に黙とうする馳知事、石破首相、岸田前首相 地震と奥能登豪雨の遺族317人と国、市町関係者ら計445人が出席した。地震発生時刻の午後4時10分に全員で黙とうをささげた。 小林さんは夫と営む衣料品店を仮設商店街で営業再開したことに触れ「半歩ずつだが、店を守り抜き、地域と共に歩む」と復興への決意を述べた。 馳浩知事は式辞で「復旧・復興への道のりは長く険しい。『新たな能登の未来を築く』という強い決意を新たにし、復興への道を切り開く」と力を込めた。 石破茂首相は「生活となりわいの再建、創造的復興に政府一丸となって取り組む」と強調、防災庁創設などを通じて世界一の防災大国にすると決意を示した。岸田文雄前首相もマイクの前に立ち、「一人の政治家として、引き続き全身全霊で能登の復旧・復興に努める」と語った。 引き続き遺族らが会場中央の献花台に花を供えた。黙とうなどに先立ち、オーケストラ・アンサンブル金沢の献奏が行われ、陸上自衛隊中央音楽隊の鶫(つぐみ)真衣さん=金沢市出身=が国歌を独唱した。 ●防災相に窓口一本化 地震、豪雨の復旧・復興対応 馳知事は、能登半島地震と奥能登豪雨の復旧・復興に関し、政府側への要望の窓口を坂井学防災担当相に一本化すると石破首相から伝えられたと説明した。追悼式後、報道陣に明らかにした。 馳知事が北國新聞社の新年企画で石破首相と対談した際、「政府に対するさまざまな要請や相談をお伝えできる窓口を置いてほしい」と求めており、首相がこれに応じた形だ。