渋谷で行くのはドンキ、ニトリ、ハンズ。伊藤忠岡藤CEO流「商売のセンス」の磨き方
「会議と書類を減らす」
「僕は社長になってから会議と書類を減らした。僕自身が社長になるまで、ずっと会議を減らさなければいかんと思っていた。会議ばかりしていつ商売をするんだ。書類ばっかり書かされるけど、結局、ちょっと見ただけでそのへんに放ってしまう。こんなことではいけない。だからまず僕は会議を減らして、書類を薄くして、残業もなくした」 伊藤忠は1年に一度、特別経営会議を行う。以前は辞書みたいに分厚いファイル資料を2冊作成していたが、岡藤が薄い資料を1冊だけに変えた。 「資料の作成に膨大な時間をかけるより、お客さんのところへ行け」 岡藤はそう指示した。稼ぐとは事務作業の時間を減らして営業の時間を増やすことだ。だから、彼はやった。
「まずイエスから入れ」
岡藤は営業の人間に「商談する時はまずイエスから入れ」と指導している。それで商談はスムーズにいくようになる。 「これはできません」「あれは今、ちょっと人手が足りないから無理です」と最初から言われたら、用件を持ち込んだ方はやる気がなくなる。相談を持ち込まれた時は客をつかむ大きな機会だ。その時に相手が鼻白むようなことばかり言ってはいけない。相手と話す時は、まずイエスと答えることで、働き方は変わる。 「これはイエスマンになれという意味ではない。お客さんと話していて、何か頼まれた時、『それはできません。うちでは扱っていません』と簡単に言うなということ。 その時は扱っていない商品でも交渉すれば自分のところの商材になるかもしれない。また、その商品が手に入らなかったとしても、類似の商品であればお客さんが買ってくれるかもしれない。 お客さんが声をかけてきてくれたら、そこを突破口にしてビジネスにする。そして、さらに大きくしていく。それが稼ぐためのコツです。 もうひとつ重要なのはクレームを嫌がってはいけない。クレームは吉であり、クレームは営業のきっかけになる」 彼は続ける。 「クレームはそう悪いことではない。もちろん、こちらが約束を破ってしまったといった非常識なミスに対してのクレームであれば誠心誠意、謝るしかない。しかし、そうではないクレームもある。それは自分の仕事を見直すいい機会だ。 『台風が来た。それで、お宅の納品が遅れた。うちは損をした』と言われたとする。これに対して、どう謝るか。 『台風がいけない』『運送会社が悪い』と答えたら、言い訳しているだけだ。 それよりも、すみませんでしたとあっさり謝って、次に台風が来た時はどうすればいいのかを考える。その対処策を持って行って謝る。謝りに行って提案して帰ってくる。 『災害に対しての配送ルートはプランB、あるいはプランCまで考えておきます』 そういった答えを用意しておく。あるいは運送会社を替えることを考えてもいい。 お客さんのクレームは自分の仕事のやり方を見直す機会だ。クレームというものはお客さんが日ごろから思っていることを知る大きなチャンスだ。クレームがあったら、飛んで行って話を聞く。電話やメールだけで謝るのはもってのほか。面談すること」