明治日本をも震撼させた「クラカタウ火山の大部分が消滅」の大ニュース…消滅後の海に現れた「子供島」の成長と、その後の姿
今から140年ほど前の1883年の8月26日、インドネシアのクラカタウ火山で史上最大規模ともいえる大噴火が発生しました。死者が3万6000人を超え、クラカタウ島の地形までが変わってしまうという大きな噴火でしたが、この噴火によって、陸域ばかりでなく、海域火山の活動が社会や人々の生活にも大きく影響することを思い知らされました。 【画像】1883年の再来か…次代クラカタウ島も、山体崩壊によって姿が激変 そして、奇しくも、この8月26日は、本年より「火山防災の日」と定められました。これは、1911年(明治44年)に、浅間山に日本で最初の火山観測所が設置され、火山観測が始まった日にちなんでいるそうです。 実際に報道などで目にできる陸域の火山はもちろんですが、新たな島の出現や出現した島の消失など、海域の火山活動も、陸域のそれに劣らない地球のダイナミズムを感じさせられます。このクラカタウ火山も、1883年の噴火の後も、時に活動を再開させ、時に静穏期を迎えつつ、21世紀において、なお盛んに活動を続けています。 ここでは、多くの火山島の調査も行ってきた著者による『島はどうしてできるのか』から、破壊と創造を繰り返すクラカタウ火山について、現地調査を踏まえた解説をお届けします。 ※この記事は、『島はどうしてできるのか』の内容を再構成・再編集してお届けします。
繰り返される巨大噴火
2022年1月15日に発生した、トンガ王国のフンガ火山の爆発的噴火は、成層圏を貫く巨大な噴煙を形成し、大気・海洋・電離圏に全球規模の擾乱(じょうらん)を引き起こした。日本を含む太平洋沿岸の各国で潮位の変化が観測され、その影響の大きさは歴史的に見てもまれな現象だった。 地球を震わせたこのフンガ火山の噴火の全貌はしだいに解明されつつあるが、歴史を振り返ると、じつは地球上ではフンガ火山の噴火を上回る規模の爆発的噴火が繰り返し発生している。 インドネシア・クラカタウ火山もそのような噴火を起こした火山の一つで、とくに1883年の噴火は地球規模の影響をおよぼし、当時の世界の人々を震撼させた。2018年には島の一部が崩れる「山体崩壊」が起こり、同時に発生した津波により多くの犠牲者を出した。 クラカタウは危険な火山現象を発生する一方、新しい火山島の誕生と成長のプロセスを見せる稀有な火山でもある。 クラカタウとは一体どのような火山なのか、今回の記事ではクラカタウへの訪問記録を中心に、火山の地形を大きく変えてしまうような山体崩壊やカルデラ形成を伴う破局的噴火に迫るとともに、火山島の創造と破壊について考えてみたい。
【関連記事】
- 【続きはこちら】なんと、島にそびえ立っていた火砕丘のほとんどが消え去った…「1883年大噴火」の血脈を受け継ぐアナク・クラカタウの「驚愕の山体崩壊」
- 【エーゲ海の火山島】ミノア文明滅亡の謎…「サントリーニ」の誕生と成長、そして、3600年前に起こった「史上最大の大噴火」
- 【数トン級の溶岩塊が「秒速200m超」で飛んでくる…】ポンペイを「埋め尽くした」プリニー式とともに、まさに「火山を象徴」する噴火様式
- 【薩摩の火山島】島民600名が逃げ出した…薩摩南方の島で起こった「西之島や福徳岡ノ場噴火をも超える」大噴火と、わずか「4ヶ月ほどで出現した」新たな島
- 【こちらも】衝撃! 能登半島地震で明らかになった「日本には砂上の町が多い」という現実と「全国で液状化被害が起こる」可能性