京都工学院が中部大春日丘に競り勝ち 1万人大観衆の前で「信は力なり」を体現
第104回全国高校ラグビー2回戦(30日、京都工学院15-7中部大春日丘、花園Ⅲ)伝統の赤黒ジャージーが花園第1グウランドに帰ってくる-。2回戦16試合が行われ、優勝4度の伏見工を前身とし、9大会ぶり21度目、2016年の校名変更後では初出場の京都工学院はBシードの中部大春日丘(愛知)に15-7で競り勝った。第3グラウンドには1万人の観客が殺到し、併設の陸上競技用トラックにまであふれ出す人気ぶりだった。来年1月1日の3回戦では今大会初めてメインスタジアムの第1グラウンドに登場。Bシードの国学院栃木と対戦する。 ノーサイドの瞬間、京都工学院の選手たちは拳を突き上げ、飛び上がって喜びを爆発させた。シード校の中部大春日丘を撃破し、前回出場の2015年度以来の3回戦進出。大島淳史監督が目を細めた。 「ノーシードのわれわれにとって、シード校を倒すことは大きなチャレンジ。そのために準備し、生徒たちがやり切ってくれた」 昭和の人気ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルになった伏見工を前身とする京都工学院の注目ぶりはすさまじく、収容2880人の第3グラウンドのスタンドに収まり切れない観客が陸上トラックにまであふれ出す。立ち見も出た。「1万人」と公式発表された大観衆の前で、チームの精神である『信は力なり』を体現してみせた。 相手の連続攻撃にも声を掛け合い、赤い壁となって前進を許さない。一方で、攻撃では堅い守りに阻まれて前進できず、ともに敵陣22メートル内まで攻め込めない。 そんな膠着状態が続いた後半5分。敵陣中央40メートル付近で反則を得ると、FB広川陽翔主将(3年)は「彼はとことんストイック。常に(練習で)蹴っている」とSO杉山祐太朗(2年)にPGを指示。「ミスターラグビー」と呼ばれたOBの故平尾誠二さんにあやかり「平尾2世」と注目される指令塔が期待に応え、3点を先制すると、1トライずつを取り合い、8-7で迎えた18分には執念のビッグプレーも飛び出した。 相手FWに自陣インゴールまでボールを持ち込まれたが、PR加藤瑠絃(2年)が体を下に入れてトライを阻止。逆転を許さず「ゴール前で(相手)FWが攻めてくるディフェンスは練習してきた。成果が出た」と胸を張った。その4分後、モールを押し込み、HO川口士央(3年)がトライ。勝利を決定づけた。
元日の3回戦は伏見工時代に数々の激戦を繰り広げてきた第1グラウンドで国学院栃木に挑む。大規模改修で収容2万7345人のスタンドを備えるようになってからは初登場だ。加藤は「中学生のときから夢見てきたグラウンド。立てるだけで光栄だが、出るだけで喜んでもらえるチームではない」ときっぱり。12年度以来12大会ぶりの8強へ、チーム一丸となって突き進む。(月僧正弥)