au TOMSはどうしてそんなに強いのか? GT500最大の疑問に迫る。鍵となるのは“積み重ね”……そこに「悟空とベジータ」が応える最強布陣
「36号車って、なんであんなに強いんですかね」 そんな会話が口々に聞こえてくるのは、スーパーGTが開催されるサーキットの観客席だけではない。関係者が集うパドックでも、この1年はこの話題で持ちきりだった感がある。それほどまでに、最近の36号車au TOM'S GR Supraの強さは際立っている。 【動画】2024 スーパーGT第2戦富士:決勝ハイライト(GT500) 昨シーズンは、坪井翔と宮田莉朋のコンビで3勝を挙げてGT500クラスのチャンピオンを獲得。そして宮田に代わって山下健太が加入した今シーズンも開幕戦岡山でポール・トゥ・ウインを飾り、昨年の第7戦から数えて3連勝を飾った。GT500で同一チームの同一ドライバーが3連勝を記録するのは、30年の歴史で初の快挙となった。 第2戦富士では46kgものサクセスウエイトを積みながらも、3時間の決勝レースで着々と順位を上げ4位フィニッシュ。このレースを制したNISMO NDDPの3号車Niterra MOTUL Zは昨年から36号車の目下最大のライバルと言えるが、その3号車に乗る高星明誠は、独走優勝を飾った後の記者会見でこのように語っていた。 「僕たちは昨年も良いパフォーマンスがあったと思いますが、それでもチャンピオンに届かなかったのが現実であって、昨年のパフォーマンスを超えていかなければいけないという思いが強いです」 「まだ昨年のパフォーマンスに到達できていないというのが今の僕の気持ちなので、まずはそこまでマシンのバランスを引き上げていきたいです」 独走で優勝してもなお高星をこのように思わせるのは、36号車の強さあってのことだろう。またHRC(ホンダ・レーシング)の佐伯昌弘ラージ・プロジェクトリーダーも、第2戦でホンダ陣営の複数の車両がトラブルでリタイアしたことを引き合いに、「36号車は昨年からシーズンを通して速い。36号車の前に何台か入らないといけないレースだった」と総括。皆が36号車を意識しているのだ。 そんな36号車は、2021年にも関口雄飛と坪井のコンビでタイトルを獲得するなど、直近3シーズンで2度チャンピオンに輝いている。その強さの秘訣は何なのか? 2020年から同車両のチーフエンジニアを務める吉武聡エンジニアに様々な疑問をぶつけた。
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