卒業・脱退続くアイドル界 坂道グループも真価問われる
王道アイドル路線が成功した日向坂
一方で、日向坂46は絶好調なのだとか。アイドル取材を担当するスポーツ新聞系Webメディアの40代男性記者は話す。 「いけてないグループは取材でもわかるほどグループ内の雰囲気が悪いものですが、日向坂は対照的に空気感がいいですよ。当初、いわゆる『ひらがなけやき』だった頃は欅坂46の妹分なのかアンダーグループなのか、いずれにせよ2軍的で立ち位置がはっきりしない時期もありましたが、グループのルーツともいえる長濱ねるさんが2017年に外れたことでアイデンティティーが問われる状況に追い込まれました。でも、そこが再出発点となった感じですね。掲げていた『ハッピーオーラ』が定着していって、元気で明るいアイドルの王道路線が今の好調を呼んでいます」
ファンは何をアイドルに求めアイドルはどう応えるか
そこでこのところ気がかりなのが、アイドル界全体にただよう閉塞感だという声も。 「メジャーなグループに続いて、ご当地アイドルブームなどでどんどん全国にアイドルが生まれて、業界全体が運営もファンも含めてイケイケな頃は良かったんですが、このところはローカルアイドルでもいろんな事件が起きますね。その多くはNGT48の元メンバーの山口真帆さんの暴行騒動に代表されるように、ファンとの距離感が崩れつつあることに起因するのですが、いまはアイドルをタレントとしてリスペクトするファンが減って、『おれは客でお前にカネを落として応援してるんだから』といった上から目線の人があまりにも増えています。そんな現状ではコンサートやイベントなどの現場が荒れるのも当然です。そういう一つ一つが積み重なって閉塞感がただよっているのは否めません」と話すのは、アイドル情報メディアの30代女性編集者。 アイドル界をリードする勢力の一つとなった坂道グループでも欅坂46には近年、グループ内に閉塞感があったようだ。閉塞感は先行きが不透明な状況に顕著に現れるが、アイドル界全体にそうした手詰まりな感じがあるとすれば深刻だ。王道アイドル路線に回帰して好調の日向坂は何かのヒントになるだろうか。今後アイドル界はどうなっていくのか。ファンは何をアイドルに求め、アイドルはそれにどう応えていくのだろうか。 (文・志和浩司)