新型X5を日本で乗る意味とは? BMWがつくるSUVはやっぱりスポーティだ!!!
スポーツSUV開発の手を休めない
外観は、ブラックアウトした大きなエアダム、巨大なキドニーグリル、パンと張った力強さを感じさせるボディと相まって、この大きなタイヤが、Mスポーツとしての存在感を強調している。 ヘッドランプは、「BMW モデルとして初めて採用」(プレスリリース)という矢印型デイライト機能を有した LEDライトを採用。よく見るとグラフィック的にもおもしろい。新しさがしっかりある。 BEV(ピュアEV)のブランド「i(アイ)」を展開するいっぽう、超がつく運動性能を有するクルマを開発する「M」でも、力を抜いていない。 X5 xDrive50e Mスポーツでは前輪の後ろに、「M」と「(electrified by)i」、ふたつのロゴが並んで装着されている。このふたつが共存するのが、ICE(エンジン車)からBEVへと移行する、いまという時代の象徴なんだろう。 X5 xDrive50e Mスポーツでは、乗った印象では、Mとiをうまく使って、エンジンを楽しませるスポーティカーのメーカーとしてのBMWの存在感をしっかり出している。 内装は、落ち着いていて、質感が高い。現行「7シリーズ」のように、ひとを驚かせるデザイン要素はない。ダッシュボードは、大きな横長の液晶モニター、エアコン吹き出し口、そしてエアコンコントローラー、それぞれが階層で分けられていて、現代建築のように積み重ねられている印象だ。 私が乗ったクルマはメリノレザーを使ったパッケージオプション装着で、本革の可否はともかく、デザイン的にはすっきりしつつ、官能性も感じられ、見た目の印象はとてもよい。 ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能、アクティブ・クルーズコントロール(ストップ&ゴ ー機能付)、ステアリング&レーンコントロールアシスト、レーンチェンジアシストなど走行支援システムは多い。安全支援システムとしては、サイドコリジョン・プロテクションおよび衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリングシステム付)、クロストラフィック・ウォーニング、ペダル踏み間違い急発進抑制機能が標準装備。 インテリジェントシステム開発にいち早く取り組んできたBMWだけあって、音声会話だけで車両の操作、情報へのアクセスが可能となる「インテリジェントパーソナルアシスタント」も搭載する。新しいスマートフォン向けアプリ「My BMW」にくわえ「アレクサ」が装備される。このアプリをアレクサと連携させると「自宅さながら」(プレスリリース)さまざまなサービスや機能が利用になるという。 ニュースの確認、音楽ストリーミングの再生、アマゾンでのショッピング、対応するスマートホームデバイスの操作といったものである。ショッピング……する人いるのだろうか。アウトバーンを500km先の目的地まで一心不乱に走っているときなら、便利かもしれない。 というわけで、クルマとしては充分楽しく、同時に便利で安心というのが、X5 xDrive50e Mスポーツの特徴。BEV時代をついそこに見ながら、スポーツSUV開発の手を休めない。そこがスゴイ。
文・小川フミオ 写真・田村翔 編集・稲垣邦康(GQ)