小林製薬は「いのち輝く」大阪万博メインパビリオンに5億円協賛…同社の対応は?
一難去る間もなく、また一難だ。2025年大阪・関西万博に、新たな懸案が浮上している。「紅麹」サプリ摂取者の5人が死亡し、商品の自主回収を決めた小林製薬が、目玉パビリオンに出展予定なのだ。「いのち輝く」万博にふさわしいのか。小林製薬を直撃すると──。 日テレ「イッテQ!」に蔓延する驕りとコンプラ不全 コンゴ民主共和国大使館が放送内容に激怒 ◇ ◇ ◇ 小林製薬は28日、大阪市内で定時株主総会を開催。「紅麹」サプリの健康被害問題について、小林章浩社長は「被害の拡大防止と原因究明に全社を挙げて全力で取り組む」と謝罪した。株主は「情報公開が遅い」「管理体制がまずい」などと怒り心頭だった。 小林製薬によれば、サプリ摂取と死亡との関連が疑われる事例が5件、摂取後の入院事例は106件に上る。同社に摂取と健康被害の因果関係について尋ねると、「詳細を確認中」(広報IR部)とだけ回答した。その後、厚労省によるとサプリを服用して入院した人は重複計上などがあったため、106人から93人に修正された。 さらなる問題は万博との絡みである。大阪府・市が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」。「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のメインテーマを具現化する施設に、小林製薬は「プレミアムパートナー」として協賛しているのだ。 プレミアムパートナーは協賛金5億円以上が条件で、パビリオンに企業ブースを出展できるほか、パビリオンの公式ロゴ(青いたまごマーク)を広告や頒布品、景品などに使用できる。 プレミアムパートナー以上の企業は、最上位ランクの「スーパープレミアムパートナー」(協賛金10億円以上)を合わせても20社に過ぎない。そんな超大口スポンサーのひとつが健康被害で糾弾されているのだ。すでに逆風すさまじい万博にとって、まさに弱り目にたたり目。もはや呪われているとしか言いようがない。
「あったらダメなをカタチにする」
健康被害問題を受けてパビリオンへの出展を取りやめるのか、小林製薬に問い合わせると「今のところ、予定通り出展します」(広報IR部)と回答した。出展内容については「検討中」(同)だという。「『あったらいいな』をカタチにする」のCMでお馴染みだが、「いのち輝く」万博のメインパビリオンに「あったらいいな」とは、とてもじゃないが言えないだろう。 27日に大阪市が小林製薬に下した製品回収の行政処分を受け、府は同社と2018年に結んだ包括連携協定に関し、「協定に基づく具体的な取り組みを中断した」(公民連携グループ)と説明した。「(協定を)破棄したわけではないが、(連携活動の)再開めどは立っていない」(同)のが実情だ。 府が包括連携協定を中断した事例を踏まえれば、府・市が主体のヘルスケアパビリオンでも、小林製薬側に「出展中止」を要請する可能性があるのではないか。府の所管部署に改めて問い合わせると、「パビリオンの協賛にあたっては、包括連携協定のようなガイドラインが存在しない」「事実関係を確認している段階なので、(出展中止を)要請するかどうかも含め、お答えできない」(出展企画課)とのことだった。 万博開催まで残り1年余りなのに、ことごとく「あったらダメな」をカタチにしてばかり。まったく、どないすんねん。 ■小林製薬製の紅麹製品 厚労省が原料入手の173社を公表 厚生労働省の専門調査会は28日、小林製薬の紅麹原料を使用した製品について、今後の対応を協議した。厚労省は原料を入手した173社を公表。各社に対し、来月5日までに健康被害の有無を報告するよう求める対応案が了承された。 小林製薬から原料を直接入手した52社には、29日までの報告を要請する。調査会には小林製薬の役員らも出席し、製造工程や品質管理体制などを説明した。同社は近く「紅麹コレステヘルプ」などのサンプルを提供し、国立医薬品食品衛生研究所が解析を進める。