古生物学者が語る 夏休みに博物館・恐竜展の化石鑑賞を10倍楽しむ方法
夏休み:化石展・自然史博物館へ行ってみよう
さてお盆も控えて、夏休みもたけなわにさしかかってきたようだ。暑さを逃れるために、何処か遠くの涼しい気候の国で、長期休暇などとる予算も時間もない方。毎日家の中に閉じこもってはパソコンやスマホを抱きかかえ、半冬(夏)眠状態のあなた(他人事ではない)。彼氏・彼女・パートナー・家族のメンバー等々と暇をもてあまし気味という方。 「恐竜展や自然史博物館に足を向けてみてはいかがだろうか?」 化石と接する機会など、普段なかなかない方にとって、夏休みは特に絶好の時間だ。 例えば今年の夏は、千葉市幕張で大きな恐竜展―「ギガ恐竜展2017」―が開催されている。世界各地からさまざまな種類の恐竜やその他の生物グループの化石標本を、一箇所にまとめ展示している。恐竜研究者の私から見てもかなり贅沢な顔ぶれの化石が多数揃えてある。超大型恐竜の全身骨格や最近記載されたばかりの古生物学の最先端をいく化石標本なども見られる。(恐竜展のくわしい情報はこちら 参照: 。9月3日まで開催中。)
注:私のこの連載記事では、あえて商業的な宣伝は控えることをモットーにしている。しかしこの恐竜展を企画しているスタッフの方と、個人的に直接交流する機会が数年程前にあり、今でもよくメールでやり取りさせて頂いている。これだけの数と質を備えた化石標本を世界各地から集め、一大イベントとしてまとめ上げる、その情熱と企画推進力は化石研究者も顔負けだ。そして世界的に見回してみてもこれだけのスケールの期間限定の化石展は他にほとんどない。そのためとりあえずここでは友情応援ということでご理解願いたい。 幕張までどうしても足を向けることができないという方もいるかもしれない。こうした方に是非尋ねてみたい。日本各地に大小さまざまな自然史・化石博物館が存在することを、はたしてご存知だろうか? 多数の博物館には常設・臨時の化石標本がたくさん展示してある。その地域から見つかる特有の化石の中には、サイエンス的にかなり貴重なものも多数ある。中には来館者の方が直接触れることのできる化石標本も置いてある。 -「化石友の会」編: -日本の化石・自然史博物館リスト: もし海外を旅行する予定があれば、滞在予定地近郊の自然史博物館(natural history museumやscience museum)をチェックしてみるのもおすすめだ。日本ではなかなか見られない貴重な化石が多数見られるかもしれない。日本の博物館とはかなり異なるスケールや趣の博物館もたくさんある。(おいしいカフェテリアや大きなギフトショップも当然見逃せない。) 私は研究がてら世界各地の博物館をあちこち訪ねてきたが、各博物館がもつ個性のようなもの、ユニーク性は実に多彩でいつも感心させられる。長い歴史やその風土・街並み・土地柄などから醸(かも)しだされるたたずまい。博物館スタッフが長年に渡りしぼり出し続けてきた創意工夫やユニークなアイデアの数々が、展示の一つ一つにおいて随所に見られる。 大都市にはたいてい(大きな)自然史博物館が、その地域の顔のような存在として(当然)ある。こうした場所を見逃す手はないだろう。丸一日かなり有意義でリラックスした時間を費やすことさえできるはずだ。