道路の真下には川があった!? 渋谷川の暗渠からその痕跡を見つける。
【稲荷橋~宮下公園】 渋谷駅を通り過ぎ、宮益坂下の交差点に差しかかったところで立ち止まる。鉄道の高架をはさんだ向こう側はスクランブル交差点だ。そのまま鉄道の高架に向かってみる。渋谷駅の東は宮益坂、西は道玄坂で、坂と坂の間に挟まれた鉄道の高架のあたりは渋谷で一番低い谷底となっている。 ■暗渠の発見ポイント2. 暗渠のあるところは谷になっている 谷をつくるのは川。もともと川だったところは、谷の地形となっている可能性が高い。川はないのに谷になっているところは、もしかしたら暗渠かもしれない。 天気も良いので、屋上庭園に生まれ変わった宮下公園でひとやすみ……といきたいところだが、その横の「渋谷横丁」の路地を歩いて行く。渋谷川の暗渠はこのあたりだ。明治通りの地下は東京メトロ副都心線が走っており、若干、渋谷川の暗渠とは離れてしまう。
【宮下橋~表参道】 渋谷横丁の途切れるところで横断歩道を渡り、明治通りと「キャットストリート」の分岐点に差しかかる。ここにも橋の親柱を発見。「みやしたはし」と書かれている。欄干などはないが、ここを流れていた渋谷川に橋が架けられ、人々が渡っていたことが伺える。 ここから渋谷川の川筋を辿って、キャットストリートを歩いて行く。キャットストリートいえば、裏原宿ともいわれるとおり、流行を発信する「ファッションの街」という印象があるのではないだろうか。キャットストリートの正式名称は「旧渋谷川遊歩道」。くねくねしたこの道は渋谷川の流れそのものだったわけだ。 キャットストリートの謎の空間も、暗渠であるがゆえに生み出されたものだ。大きな遊具はないものの、ちょっとした公園になっており、ベンチも設置されいるし、植樹の手入れも行き届いている。幅といい、蛇行の具合といい、いかにも川の流れ。暗渠を利活用したのがわかる。 ■暗渠の発見ポイント3. 細くて長い公園 細くて長い公園、または遊歩道、駐輪場の下は、もしかしたら暗渠かもしれない。暗渠上に公園を整備して子供たちに遊び場を提供するなど、暗渠上のスペースを利活用しているケースが多々あるからだ。
【表参道】 キャットストリートを通り抜け渋谷から表参道まで辿り着いた。歩道橋を渡ったところ(表参道ヒルズの傍)に「道路のみどり」と題された看板を発見。設置したのは東京都の第二建設事務所のようだ。そこには、渋谷川は明治の中期まで水車を使った精米業が盛んにおこなわれており、その情景は「富嶽三十六景(葛飾北斎)」の画に見られることが書かれている。 渋谷川の暗渠を辿るのはここまで。渋谷から表参道まで歩いただけで、至るところに渋谷川の痕跡を見つけることができた。東京は暗渠の宝庫だ。この記事を読んで暗渠に興味を持ってもらえたら、ぜひ、実際にその足で歩いてもらいたい。
文・写真=KURU KURA編集部