海外と比べて、日本のビッグマックは「割安」 それって“悪い”ことなのか
海外でマクドナルドのビッグマックは、いくらくらいなのか。英国のビジネス雑誌『エコノミスト』が調査したところ、最も高いのはスイス。その次に高いのが、米国、英国、ユーロ圏、カナダなどで、調査対象国・地域の中で、日本は下から数えて11番目である。 【画像】日本は何位? 「海外のビックマック」価格ランキング(54位→1位) マネオ: バーガー博士、日本のビッグマックの価格が世界全体の中で安い方であるのは悪いことなのですか? 安く買えるからよいことではないですか? バーガー博士: 日本の中だけで考えたら安く買えるのは悪いことではないけど、その理由に問題があるのだよ。日本のビッグマックが割安というより、日本円を使って他の国でビッグマックを買おうとすると、より多くの円を必要とするようになっている。つまり、日本円の価値が世界の中で低く見られているのだよ。 日本のビッグマックの価格が米国よりも大幅に安くなっているのは、2つのことが影響している。 ひとつは米国のビッグマックの米ドル価格の上昇率が、日本のビッグマックの円価格の上昇率より大幅に大きいこと。もうひとつは、円が対米ドルで大幅に安くなっていること。 つまり、米国では、ビッグマック1つを買うのに、より多くの米ドルを必要とするようになっているのに、それに加えて、その米ドルと交換するのにより多くの円を必要とするようになっているということだ。 モノやサービスの「価格(値段)」が上昇するということは、お金の『価値』が下落していることを意味する。逆にモノやサービスの「価格」が下落するということは、お金の『価値』が上昇している。 だから、米国でビッグマックの米ドル建ての価格が日本よりも大きく上昇しているということは、それぞれの国で別々に考えると、ビッグマックに対して円よりも米ドルの価値の方がより大きく下落していることを意味している。だから、普通に考えれば米ドルに対して円の価値が上昇しているはずなのに、実際には米ドルに対して円は下落して、大幅に円安が進んでいる。 その結果、円で海外のビッグマックを買う時により多くの円を必要とするようになっている。つまり、海外のビッグマックに対する円の価値が大幅に下がっているということになる。 日本国内で閉じた世界では、円の価値はさほど下がっていないのに、国際的に見ると、円の価値が大幅に下がっているということになる。そして、それは円でお給料をもらっているわれわれの労働の価値が世界の中で低く評価されていることも意味する。 【まとめ】 世界の中で、円の価値は大幅に低く評価されている。 (佐々木 融、ふくおかフィナンシャルグループ・チーフストラテジスト)
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