宝塚退団から半年、元花組トップスター柚香光の今(後編)「バレエファンも、面白がって付いてきて」
元宝塚歌劇団花組トップスターで、新たな道を歩み始めた柚香光さん(32)のインタビュー後編をお届けする。来年1月、パリ・オペラ座バレエ団のエトワール(最高位ダンサー)、マチュー・ガニオさんとの共演を控えた今、踊りにかける熱い思いを語る。 【写真】「バレエ少女でした」との言葉通り、背中越しのポーズも美しく決める柚香光さん ■自分のダンス突き詰め 《宝塚時代、シャープな踊りで目立っていた柚香さん。踊りは今後も、武器になりそうだ》 一言にダンスと言っても色々な種類があるので、「自分のダンスって何」っていうところから突き詰めないと。やはりパリ・オペラ座バレエ団の、現役ながら伝説のようなマチューさんとご一緒するには、自分のダンスと今一度、向き合う機会をいただいている、という風に思いますね。 今日はこういうお衣装(ジョルジオ・アルマーニのドレス)を初めて着て撮影しましたが、今までの積み重ねがあった上で、今の状態が生まれ撮影に挑む。これも自分にとって融合であり、新しいスタイルです。今後も、踊りだけでなく色々なお仕事によって、新しい自分と出会っていくと思う。そういう意味でも今回、新しい表現やパワー、側面が生まれるといいな。 《踊りで役を表現したり、演じることはバレエ少女時代から好きだった》 牧阿佐美先生のバレエ団で踊った子役でも、その後に学んだ岸辺バレエスタジオでも、キャラクター(役)が入ったり、お芝居がかった踊りがすごく好きだったんです。舞台っていう空間が好きでした。宝塚入団後の踊りは、リズムの取り方、体の使い方も全然違い、戸惑う部分もありましたが、共通部分もあって、バレエをやってきたからこそ応用できる部分もありました。 ■バレエから男役の踊りへ 宝塚に入ってからは、踊りも歌もやらなくてはいけなくて、時間を使い果たしちゃうので、ほとんどバレエができませんでした。でも公演の練習中でも、バレエの基礎、ステップ、体の使い方を応用していました。特に娘役さんはドレス(の裾)さばき、デュエットダンスも、バレエの動きが大事。私も常にバレエの意識を持ちつつ練習し、応用する癖がついていました。そういう意味では常に、バレエの近くにはいました。 ただ男役なのでヒールを履き、(バレエのように)体を引き上げるのではなく重心を落とし、角張った動きで踊るので、バレエとは真逆の体の使い方で、(男役との)両立は難しいところもあるんです。でもバレエもすごく大事で、やってよかった、と思うことは日常茶飯事でしたね。