宝塚退団から半年、元花組トップスター柚香光の今(後編)「バレエファンも、面白がって付いてきて」
《宝塚時代、娘役への配慮や目線など、細部にもこだわった踊りを見せた》
私自身、そういうダンサーが好きです。宝塚入団前、同じバレエスクールだった(パリ・オペラ座バレエ団のエトワール)オニール八菜(はな)ちゃんもそうですが、一緒に踊る方とコミュニケーションを取りながら、相手への愛情や敬意、音楽や振り付けに対する丁寧さがある方が好きなので、それを大事にしたいと思うんです。
実際、一緒にやってくださった皆さん、本当にすてきな方ばっかりでした。芸術としてのコミュニケーションがすごく好きです。
■宝塚に育てられた
《退団から半年を経て、宝塚の存在の大きさを実感すると振り返る》
退団して、意外と変わらない部分もあります。自分にとって、宝塚歌劇がすごく大きな存在だったということは、改めて感じます。私の成分の一体何割が、宝塚なんだろうと思うぐらい(笑)、色々なことを教えていただき、育てていただいたと実感することがすごくあります。本当に感謝しています。退団後は、この自分の身で何ができるか、自分の中にあるのは何だろうって、考える時間がすごく増えました。
《海外のトップダンサーと踊るバレエ公演で、初めて柚香さんの踊りを見るかもしれないバレエファンにも、アピールしたいと笑顔で語る》
1月の「マチュー・ガニオ スペシャル・ガラ ニューイヤーコンサート」に、バレエ界の人間ではない私が出ていくので、「この人は一体何?」とバレエファンの方は思われるかもしれません。私もバレエファンなので、お気持ち分かるのですが(笑)、そういう方々にも、ちょっと面白いかもしれないぞ、こういうダンスもあるんだ、と思っていただけたら、うれしいです。
私も昔、バレエしか見ていなかったのですが、そんな時、宝塚の舞台に出会って「何これ?すごい」って感動したんです。これをきっかけに、ちょっとまた見てみようかなって思っていただけたら。バレエファンにも、宝塚時代に応援してくださった方にも、喜んでいただける、そんな融合があったらいいなと思います。