「腰が引けている」「自主規制は責任逃れ」…“中立”で面白くないメディアは「公平性解釈のステートメント」を発表すべき?
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事。SNSが盛り上がりを見せる一方で「メディアは偏向報道をしている」「“真実”を放送しない」などの声が聞かれた。 【映像】「都知事選の石丸氏」と「知事選の斎藤氏」 ひと目で分かる注目度の“差” マスメディアの課題はどこにあるのか? ノンフィクションライターの石戸諭氏とジャーナリストで日本ファクトチェックセンター編集長・古田大輔氏で考えた。 石戸氏は「既存メディアは選挙報道に対して腰が引けている」と指摘した。 「ともすれば公平性という名のもとに、やらなくてもいい過剰な自主規制をかけている。これは放送法の問題ではなく自主的なものだ。既存メディアはこれをやめて『自分たちは専門家と検証し、放送法の政治的な公平性をこのように解釈することにした』とステートメントを発表すればいい。『選挙期間中に報道してはいけない』なんてルールはないため、公平にどんどん報じるべきだ」
「自主規制は責任逃れでしかない」
古田氏は同意しつつ「兵庫県知事選が終わった後、テレビなどメディアの中に『放送法があるからテレビは選挙報道に対し消極的にならざるを得ない』という論調が一部であったが明らかに間違っている。BPO(放送倫理・番組向上機構)では『嘘をついてはいけない』『誘導してはいけない』とされているが『積極的な報道をしてはいけない』なんて文言はどこにもない。また、公職選挙法に関しても『人気投票や誘導、嘘はダメ』と記されているが日本新聞協会が1966年の段階で『公職選挙法はむしろ積極的な報道を認めている』という声明を出しているほどだ。だから積極的に報じればいい。理由を並べた上での自主規制は責任逃れでしかない」と述べた。 さらに古田氏は“情報の空白”という考え方を引き合いに出した。 「実はニセ情報が拡散するのは人々が情報を求めるときであり、災害時におけるデマ拡散などはその典型だ。選挙期間にメディアが報道をやめてしまうと情報を求めた有権者はGoogleやYouTubeなどで検索しトップに出てくるものに頼ってしまうのは当たり前だ」 SNSと政治を巡って今年は様々な話題が尽きなかったが、今後もこの流れは加速していくのだろうか? 古田氏は「世界的な流れを見ると今後も加速することは明らかだ。なぜならインターネットもソーシャルメディアも便利だから。同様に、最近では生成AIも非常に便利だが負の側面もある。負の側面を抑えながら、利点を伸ばしていくという考え方が重要だ」と述べた。
「自民党総裁戦は各人の趣味まで分かった」
石戸氏もそれを受けて「政治の問題に関して言えば、最後に決めるのは有権者だ。だからメディアは判断材料を難しく考えることなく提供していけばいい。その意味では自民党総裁戦は参考になる。総裁選は放送法や公職選挙法の規制がかからないため、どの局も候補者9人を呼んで討論をさせたことで各人の趣味まで国民の知るところとなった。あの形を国政選挙でも実行すればいい」と述べた。 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部