だれでもプロ顔負けの大鉢にできる!?エビネ育種50年の達人に聞く大株仕立てのコツ【趣味の園芸1月号こぼれ話・前編】
株全体から花がたくさん!の理由
編:日本大賞を受賞された株は、大きな鉢全体から、まんべんなく花茎が上がっているのも不思議でした。 山:寄せ植えしてるんじゃないの?と驚かれましたねえ。 編:エビネの新芽は1方向に出るんですよね? なんで花が咲く場所が偏らないんでしょうか? 山:常識的には、横にふえていく複茎性のランは、芽が鉢のへりに達したら株分けしたりしちゃいますよね。でも根がしっかりして体力のあるエビネは、バルブが鉢縁にぶつかれば、新芽はあいてる場所に出てきます。横に出る場所がなければ、元株に覆いかぶさるように、あるいはバックバルブの下に隠れて過ごし、翌年に新芽が出てきたりもするんです。 編:そうやって全体に花芽が広がっていくんですね。 山:植え替えを頻繁にすると根が傷み、体力が落ちてしまうので、株分けや根をほぐしての植え替えはなるべくしないで、3~4年に1回くらい、一回り大きな鉢に鉢増しするといいいいですね。あとは個体によって芽数のふえ方の差もあります。ふえ方を観察しながら、10年後を目指して挑戦してみてください。 ◆後編では、日本のランの魅力について紹介します!お楽しみに!〈12月27日公開予定〉 山本裕之(やまもと・ひろし) 育種家 小学生のころに牧野富太郎博士に憧れ、若いころはプラントハンターとして新種や再発見など多数。東京農業大学在学中から約50年間、エビネ、ウチョウランなどの育種を続け、2022年世界らん展日本大賞をエビネで受賞。 ●ウェブだけで読める! 趣味の園芸テキストこぼれ話 『趣味の園芸』編集部によるテキストこぼれ話。最新号の特集や記事に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をウェブ限定でお届けします。