「めちゃめちゃいい時間」巨人・秋広優人がオーストラリアで進化中、食事面でも自ら店を探して量を確保
【アデレード(オーストラリア)20日=宮内孝太】巨人の秋広優人内野手(22)が11月からオーストラリア・ウィンターリーグ(WL)に参戦し、アデレード・ジャイアンツの一員として奮闘中だ。来季の飛躍を期す若武者は、“オーストラリア流”にも順応しながら鍛錬に励んでいる。異国で身も心も進化し始めている秋広の現地での生活を、巨人野手担当の宮内孝太記者が「見た」。 【写真】ジムでトレーニングに励む秋広 武者修行の充実ぶりを物語っていた。小麦色に日焼けした顔、厚みを増した肉体、外国人選手に負けない飛距離。オーストラリアの夏空に迫力満点の秋広の打球が次々と舞い、筋骨隆々のチームメートもエキサイトする。 周囲から「アキ!」と親しげに呼ばれる若武者が打撃練習後に野球漬けの日々について発した言葉は熱く、明るい。「めちゃめちゃいい時間になっている。結果が出ていることもですけど、それ以上に試しながらいろいろやれている」。約1か月、貴重な時間を過ごしてきたことを感じさせるには十分だった。 異国で心身ともに変身し始めている。今季26試合で打率2割6分1厘、0本塁打、1打点に終わり、11月中旬からWLに参加。202センチの肉体はたくましくなったように見え、それについて聞くと「筋肉とか増えて、体重は3、4キロ増えて108キロ」と自己最重量の110キロに迫っていることを明かした。週4試合をこなしながら練習前にも現地のジムでトレーニングに励む。雲一つない快晴が続き、気温は30度前後で乾燥する現地の夏。同リーグの他のチームに所属しているNPBの選手は、慣れない環境で5キロ以上も体重が落ちたという話も聞いたが、なんと秋広はバルクアップ【注】に成功していたのだった。 食事面でも工夫をこらす。「ご飯は大変。日本に比べるとしんどい」と語るように、日本であれば寮や試合前後でしっかりした食事が提供されるが、そうはいかない。球場に来る前に試合前後に食べるためのすしなどを購入する。ナイターの後も多くの店が閉まってしまう状況でハンバーガー店などを探して食事量を確保。自ら考え行動することが必要な場所で「自立」した生活を送る。 “オーストラリア流”の考え方を学び、視野も広げている。「こっちに来てすごく言われるのは自分の打てるゾーン、強みを意識しようと。短所を減らすよりも、長所を伸ばせと」。練習では打撃投手が得意なコースにあえて投じてくれることも多い。弱点に目を向けるよりも、まず自分の強みをいかに出すか。発想を柔軟に変えながら、飛躍の糸口を探していた。 同リーグではこの日のゲームを含め、21試合で打率3割1分7厘、2本塁打、8打点。シーズン終盤から取り組む打撃フォームもなじみ、結果を残している。来季こそは群雄割拠の争いに殴りこむ。秋広が逆襲への熱情をたぎらせていた。 【注】筋肉を肥大させ、体を大きくすること。 ◆G秋広のオーストラリアでの一日の食生活例 ▽朝 ピザ ▽昼 焼き魚などの日本食 ▽トレーニング後 プロテイン ▽試合前 自ら購入してきたすしを10貫 ▽試合後 パスタ、プロテイン ▽宿舎で ハンバーガー ◆G秋広の過去の食トレ 21年オフから弟子入りしている中田翔(現中日)との自主トレでは、体を大きくするために3年連続で食トレを実施。白米を1日12合食べたり、ステーキ800グラムを平らげるなど、過酷な増量プログラムをこなしてきた。1年目の21年2月に95キロだった体重は110キロまで増加。 2戦連続安打 〇…秋広は20日、シドニー・ブルーソックス戦に「6番・一塁」で先発出場し、4打数1安打だった。2打席凡退で迎えた7回先頭での3打席目に相手左腕の外角変化球に食らいつき、中前安打。2試合連続でHランプをともした。「自分の安打が得点につながってチームが勝てたのでよかった」と汗をぬぐった。
報知新聞社