アベマプライムでひろゆき、EXITを捌く「猛獣使い」平石直之が明かす、「分断を超えて話し合う」ためにできること
効果的なフレーズひとつで、自分も相手も変わる
シチュエーションに合わせた“すぐに使えるフレーズ集”が目を引く本書。平石さんのもとには、幅広い層の読者から、さまざまな感想や感謝の声が続々と寄せられている。 「まず、『使ってみて、良かった！』という声を多くいただきました。言葉ひとつ変えてみるだけで、自分も変わるし、その自分の言葉に対してまわりも変わっていく。この手応えは大きいと思います。単純に見えますが、意外とあなどれません」 会議の始まりのシーンで、参加者を本気にさせるフレーズとして使われる「後ほど、みなさんに会議の中で一言伺います。考えておいてください」という言葉も印象的だ。 「そのフレーズも、試してよかったという反響が多くありました。『1人1回話してください』と声をかけることで参加者の意識が変わり、会議を一生懸命聞くようになる。でも、普段あまりしゃべる機会がない人は、緊張しますよね。だから『質問でもかまいません』『パスもありです』などハードルを下げる一言を加えて、参加者に安心してもらうことも大事です。 会議は、ルーティンでやっているだけ、報告を受けているだけだと、参加している意味が見出せない。リモート会議で自分が話す必要がないときは、内職をしていることもありますよね。でも、人が集まる場は、本来、集まる必要があるから集まっているはずで、それなりの覚悟をもって臨んだほうがいいと考えています。番組は、私にとってその究極の現場です。意見がぶつかり合っても、人と人とが尊重し合って、そういう意見もあるよね、というところで着地させる。そのノウハウは、日常生活にも活かせるのではないかと考えています」
3人以上集まれば、ファシリテーションが必要
ファシリテーションというと会議のイメージが強いが、実はその力の活用はビジネスシーンだけにとどまらない。 「以前、消防士の方から『消防団のチームでコミュニケーションをとるにあたって、すごく役に立ちました！』とダイレクトメッセージをいただいたことがありました。学校のPTAやチーム作りなど、人が3人以上集まればファシリテーションが必要です。年上年下、上司部下、先輩後輩、異なるコミュニティの人……いろんな凹凸があるわけで、本当にフラットな関係のほうが、むしろめずらしい。同級生同士であっても、お互いの環境が変われば関係も変わってきますから。 違う考えを持った人同士が、どのように合意形成をして、物事を前に進めていくか。とはいえ、常に強いつながりを持っていなくてもかまいません。たとえば何かの大会があるときはみんなで密につながり、そうではないときはゆるくつながる。そのように、ファシリテーターの力で、チームをよりよい方向、心地よい方向にもっていけるのではないかと思います」 たった3人で話していても、テーマによっては意見が合わないときもある。当然、人数が増えれば増えるほど、その可能性はどんどん高まっていく。 「あえて意見がぶつかるところで議論しているからこそ、それぞれの違いがより表面化してしまう面もあります。相手のバックグラウンドを知り、分かり合えるところを探せば、お互いを理解しやすくなることも、付け加えておきたいです。そうした意味では、議論のテーマだけでなく、参加するメンバーについてもあらかじめ情報収集しておくことがとても大切です。そのようにして、少しでもお互いに分かり合える、話し合える世の中にしていきたいという思いがベースにあり、ファシリテーションについてお伝えする上でもいつも意識しています」 後編【「実は、物怖じするタイプでした」…平石直之が、“アベプラの猛獣使い”と呼ばれるようになるまで】では、さらに平石さんの内面について深堀りをする。
石塚 圭子
