幼少期の「逆境体験」が影響?大谷の元通訳もハマった「ギャンブル依存症」なる人、ならない人の境界線
統合型リゾート「IR」を大阪に作る計画が承認され、日本でもカジノができるようになる。これによってギャンブル依存症が増えることが心配されているが、 「IRよりも私が問題だと思うのは、国内のパチンコ店の多さです。世界最大のギャンブル施設を持っているのは日本。IRを心配するなら、パチンコ店の規制もしてほしいと思います」 依存症患者を減らすためには妊娠中のメンタルヘルスから考えなくてはいけないと小林医師は言う。 「妊婦さんが社会的に、心理的に孤立していないか、安心して出産・子育てができるか、生まれてきた子どもを必要に応じてサポートを受けながら心身ともに健全に育てられるか。 シングルマザーやシングルファーザーで育てなければいけない人、借金などさまざまな問題を背負っている人を早期に発見して、問題が雪だるま式に増えないようにしていけば、孤立した養育者も、孤立した子どもも減る。 問題を抱えている子どもにもカウンセラーや行政福祉の関係者など必要な支援チームがついて、しっかり支えてあげる。そうすれば、その子が依存症になる確率は減ります」 経済的な問題だけではない。赤ちゃんが何か訴えても長時間スマホばかり見ている養育者は、間接的には心理的なネグレクトをしている行為に近いという。 「自分の気持ちを汲み取ってもらうことが少ないまま成長すると、悲しいとき、悔しいとき、イライラするとき、一人でなんとかしようとする。こうした状態が依存症を作っていくのです」 意志が弱いから依存症になるのではない。まなざしや関わりが少ない環境が依存症を作っているのだ。 小林桜児 信州大学医学部卒。NTT東日本伊豆病院リハビリテーション精神科を経て、’04年から神奈川県立せりがや病院に勤務。依存症臨床業務のかたわら’06年には覚せい剤依存症患者に対する外来グループ療法(SMARPP)の開発に従事。神奈川県立芹香病院、国立精神・神経医療研究センター病院精神科を経て、’13年4月より神奈川県立せりがや病院(現・神奈川県立精神医療センター)に戻り、’21年4月より副院長。横浜市立大学医学部精神医学教室非常勤講師。著書に『人を信じられない病 信頼障害としてのアディクション』(日本評論社)。 取材・文:中川」いづみ
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