幼少期の「逆境体験」が影響?大谷の元通訳もハマった「ギャンブル依存症」なる人、ならない人の境界線
子ども時代の「逆境体験」が依存症を作る
大谷選手の通訳だった水原一平容疑者がギャンブル依存症であることを告白し、多額の借金があることをニュースで知ったとき、 【画像】「広告収入だけで年100億円」大谷翔平が“ハワイ26億円別荘”購入も「気になる本人コメン 「何かあったんだろうなと思いました」 こう言うのは、神奈川県立精神医療センターの副院長として、多くの依存症患者を診ている小林桜児医師。 アルコール依存症やギャンブル依存症になるのは、意志が弱いからだと思いがちだが、それは違うと小林医師は言う。 「依存症になる人は、ほとんどの場合、遺伝的背景に加えて成育環境にも問題を抱えています」 小林医師によると、覚せい剤依存症になってしまう人は経済的に恵まれない家庭が比較的多く、15歳までの間に親を離別や自殺などで失っていたり、親から身体的虐待を受けていたりするケースが大半だとか。家庭の中に自分の居場所が見つからず、外で知り合った仲間から勧められて覚せい剤に手を出してしまうのだという。 一方、アルコール依存症やギャンブル依存症は、実家はそれなりに経済力がある患者も少なくなく、本人も高校や大学を卒業するだけの学力はもっているものの、親に従わなければヒステリックに泣き叫ばれたり、親からのプレッシャーがひどく、進学先や就職先も“周囲の期待に応えなければ”と、我慢と努力を続けて自分の居場所を確保している人が陥りやすい傾向があるという。 神奈川県立精神医療センターの調査によると、依存症になる人は、15歳までに下記の17項目の逆境体験のうち平均で3~4項目が該当するとか。 □慢性身体疾患 □学業不振 □いじめ被害 □1ヵ月以上不登校 □補導歴 □厳しすぎるしつけ □親の過剰な期待 □家族の慢性的な身体疾患 □家族の精神疾患 □家族の物質乱用 □貧困 □養育放棄 □身体的虐待 □心理的虐待 □性的虐待 □親との離別体験 □同居家族の自殺 小林医師によると、ギャンブル依存症も10人のうち、8~9人は上記の逆境体験を平均で3~4項目該当する体験をしている。 「依存症になる人は、小さいころから我慢する練習や、ウソをついて周りを安心させるために本音を言わない練習を無意識にしています。 周囲の人に相談したり、愚痴を言ったりする練習をしていない。人に頼れない。そのため、つらい気持ちや苦しい気持ちを紛らわせるためにアルコールやギャンブルに手を出してしまうんです」 逆境体験をもっている人が全員依存症になるわけではない。成長過程で頼れる人、信頼できる人に出会い、その人に相談したり、助けてもらったりという成功体験があれば、依存症にはならないという。 「むしろそういう人のほうが多いと言っていいと思います」