「今のはメラゾーマではない」『ドラクエ』ファンが唸った『ダイの大冒険』大魔王バーンの名セリフ
■誰もが絶望に陥った…知らないと後悔する「大魔王からは逃げられない」
その後、カイザーフェニックスを連発するバーン。ヒュンケルやクロコダインの肉弾戦も通じず、ポップの切り札でもあるメドローアでさえマホカンタで跳ね返される始末。肝心のダイも動けず、圧倒的な戦力差に絶望的な状況だ。しかも、まだバーン側近のミストバーンやキルバーンが動いていない状態だし、もはや勝ち目などまったくない。 ここでポップがみんなを集め、ルーラで逃げようとする。本来ならばバランも戦力として当てにしていただろうから、ダイとバランのツートップが戦えない状況下のなか、妥当な選択だろう。 作戦通りみんなを集め、そして「あばよッ!!!」とルーラで空へ向かって飛ぶポップだったが、なんとそこには結界が張ってあり地面に落ちてしまった。 そこで「……知らなかったのか…? 大魔王からは逃げられない…!!!」と、冷徹に見下すバーン。 これには「いえいえ、知っています!」と『ドラクエ』プレイヤーなら頭を下げてしまうところだろう。そう、『ドラクエ』では絶望的なボス戦の際、逃げようとしても回り込まれてしまう。一度戦力を整えてからリベンジしたくてもできないのだ。 思えば筆者も何度も逃げようとした経験がある。説明書にも書いてないから分かるはずもない。そんな我々プレイヤーと同じように、逃げたくても逃げられない局面に立たされ再度絶望したポップの気持ちが痛いほどわかったものだ。
■思わず竜王の言葉を思い出す? 強者に敬意を表する「余の部下にならんか」
バーンとの一戦に敗北するも反旗を翻したハドラーによって助け出されたダイたちは、その後、カール王国の女王フローラの元に再結集する。そして、「ミナカトール(大破邪呪文)」の存在とアバンの使徒が持っている「アバンのしるし」が聖なる力を持っていることを知る。 バーンが拠点とするバーンパレスは強力な結界に守られているため、地上から普通にルーラで向かうことはできない。そこで、ミナカトールの力を使うことにしたダイたちは五芒星を軸に5人の使徒がアバンのしるしを発動させて結界を消し、ルーラで突入した。 その後、ハドラーや配下の親衛騎団を倒し、死んだと思われていたアバンとも再会。そうしてバーンとダイは2度目の対決をおこなうこととなる。 2度目の対決では、バーンと互角の戦いを見せるダイ。神々の時代から受け継がれてきた竜の騎士の“闘いの遺伝子”がダイに脈づき始めたと感じたバーンは、その強さが自分と同等であると認めた。 そして、ダイのその強さを惜しんだバーンは問う。「念のため……聞いておこう……」「……余の部下にならんか……?」と。 この「余の部下にならんか」というセリフ、『ドラクエ』好きならピンとくるだろう。これは初代『ドラクエ』の竜王の言葉を思い出すセリフだ。だが、竜王は“部下になれば”ではなく、“味方になれば”世界の半分をくれると言っていた。もちろん承諾すれば最悪の結果になるのだが……。 その後、バーンは“人間は最低だ”と続け、その愚かさについて説き、ダイを仲間に引き入れようと揺さぶる。だが、ダイの答えは“NO”。ダイは人間や地上の生物が好きだと言い、地上の人々がそれを望むならバーンを倒して自分もこの地上を去るとまで豪語した。 真理を突いたバーンの言葉にも感銘を受けるが、まだ少年のダイがここまで覚悟するとは……「余の部下にならんか」に続き、胸が熱くなる印象的なシーンだった。 『ダイの大冒険』で、悪役ながらも魅力的な大魔王バーン。その絶対的強者感が見せる余裕がゲームのラスボスをイメージさせるので、読んでいた当時もワクワクしたものだ。 そういえば、「余の部下にならんか」は、ハドラーが初登場した際、家庭教師をしていたアバンと対峙したときにも登場したセリフだ。アバンは一笑に付していたが、『ドラクエ』好きにはたまらない展開だったものだ。
ジャッキー