阪神・中野拓夢の今季のテーマは「陰」日本一へのつなぎ役を目指す
【球界ここだけの話】誰よりもチームのことを考え、自分を理解しているからこそ、裏で支えることを決めた。阪神・中野拓夢内野手(27)が掲げた今季のテーマは「陰の選手」。その思いを語った。 【写真3枚】小学生~中学生時代の中野拓夢 「自分よりホームランを打つ打者、長打力のある打者はたくさんいる。自分が表になってランナーをかえそうというのではなく、後ろにいい形でつなげていく。それだけは意識してやっています。なので『陰』ですね」 日本一に輝いた昨季から不動の「2番・二塁」に定着した。状況に応じた打撃が求められる2番という打順を意気に感じながら、その難しさに頭を悩ませることもあった。それでも、チームでただ一人のフルイニング出場とその役割を全うし、164安打で自身初の打撃タイトルとなる最多安打を戴冠。その陰で、リーグトップタイの21犠打をマークしたことが誇らしかった。 「去年日本一になったから満足するわけではなく、もっともっとやるべきことはたくさんあると思います」 「陰の選手」を突き詰めることは、連覇のために、必要だと感じたからこそ決断した。日大山形高時代の恩師・荒木準也監督も背中を押してくれた。「高校の監督も日本一の後に『陰の立役者だな』とおっしゃってくれて。自分ももっとそういう役割をやっていきたいです」。目標の選手像もある。 「(阪神でも)代々セカンドをやっていた平野(恵一)さん。そういう選手が自分のやりたい役割です」 チームは5月に入り、打線のつながりを欠く試合が続いている。8日の広島戦(甲子園)後、中野は誓った。「後ろのバッターにつなぐという意識をもう1回全員が持ちながら、打線を線としてつなげられるようにやっていきたいなと思います」。日の目は見ずとも、その力は確実に連覇へとつながっていく。虎の選手会長は縁の下の力持ちとなって、猛虎打線を生き返らせる。(原田遼太郎)