「PFAS汚染源はどこ」市民団体が相模原市に情報開示求める
記事のポイント①国の暫定指針値を超えたPFAS汚染地が全国各地で見つかっている②汚染源も対策も知らされない地域の住民の間では不安が広がる③相模原市の市民団体は市に情報開示と対応を求めた
国の暫定指針値を超えたPFAS(有機フッ素化合物)汚染地が全国各地で見つかっている。環境省は具体的な除去技術をまとめた指針を夏頃策定するというが、汚染源も対策も知らされない地域の住民の間では不安が広がっている。神奈川県相模原市もその一つで、市民団体は市に情報開示と対応を求めた。(オルタナ編集委員・栗岡理子)
PFASは、有機フッ素化合物の総称だ。水や油をはじき、熱に強いといった特徴から、調理器具の焦げ付き防止や衣料品の防水・撥水加工、食品包装や化粧品、消火剤や半導体など、多くの製品に幅広く使われている。自然界ではほとんど分解せず、生物の体内に蓄積することから、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。 しかし、環境汚染に加え、がん、肝臓や心臓への影響、子どもの発達や免疫系への影響など、さまざまな健康影響が懸念されている。 日本では、PFASが見つかった自治体では対応に追われる一方、何をしたらよいかわからない自治体も多い。
■公開された資料は「のり弁」状態
環境省が夏頃策定する予定の指針は、水源などでPFASが高濃度で検出された場合の除去技術をまとめたもので、自治体などがとるべき対応を明確にするものだ。既に活性炭などを使って除去の実証を進めている岐阜県各務原市や沖縄県宜野湾の知見なども指針に反映させる。 一方、住民に詳しい情報を伏せたままの自治体もある。神奈川県相模原市は2022年の地下水調査で、同市中央区南橋本がPFOAだけでも1リットル当たり1500ナノグラムと異常に高い値であることを公表した。 2023年には、相模川の支流の1つである道保川の魚やザリガニもPFASで高濃度に汚染されていることが、京都大学などの調査で判明している。南橋本周辺の事業所が原因である可能性が強く疑われるが詳しい情報は伏せられたままだ。 高い濃度で見つかったPFOAは1万種類を超えるといわれるPFASの1種だ。PFOAは「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs 条約)により2019年、「廃絶」の対象とされた。 日本でも2021年、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)で製造・輸入が原則禁止されたが、各地で国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超え見つかっている。 そこで、相模川流域の環境保全に取り組む「相模川さがみ地域協議会」(岡田一慶代表)は汚染源と原因を知りPFAS除去対策を求めるため2024年3月、公文書公開請求を行った。これにより、南橋本にある化学工業事業者が事業所内の複数の工業用井戸水や放流水(排水)から暫定指針値を超える汚染があったと市へ報告していたことが判明した。 しかし、市が公開した資料は、事業所名や表面水、地下水の流れ、検体の採取場所など重要な情報はすべて黒塗りされていた。