ザ・ノンフィクションでも話題「365日全国泊まり歩き生活」。彼が浪人生活で得た価値観
また、彼の浪人生活で大きかったことを聞くと「祖母と半年住めた経験」と答えてくれました。 「千葉の祖母の家に住んでいたときのことは、今でも覚えています。毎日一緒にご飯を食べていたのですが、勉強の話は一切せず、他愛もない話をしていましたね。今思えば僕に気を遣ってくれていたのかもしれませんが、孫である僕が一緒に住むことを、祖母がすごく喜んでくれていたのがとても嬉しかったです」 ■社会人経験経て、全国泊まり歩くように
見知らぬ佐賀の地でさまざまな経験を積んだ石田さんは、大学を4年で卒業したあとに大手交通機関の子会社に入社します。 そこでコンビニに配属されて店長になり、5年間の社会人生活を送りました。それからは仕事を辞めて現在まで5年間、いろんな土地に行って、街角で声をかけてくれた人の家に泊まりながら生活を続けています。 彼は最後に、「浪人生活と今の生活は密接に結びついている」と話してくれました。 「最初は仕事を辞めて世界1周をしようと思い、海外に行く前にまずは日本から攻めようと思っていたのですが、日本各地でその土地土地の人と話しながら生きていくことにはまりました。
2019年の春から毎日人の家に泊めてもらう生活をしているのですが、明日の寝床もわからないような生活なので今日・来週・1年後どうなるかも予想できないのが楽しいですし、いろんな人からさまざまな話が聞けてとても面白いです」 ■失敗で人生の楽しさに気づけた 「浪人時代に受験を失敗したことは、今から見れば心からよかったなと思いますね。人生でうまくいかなかった経験は、その先でどうつながるかわからないですし、佐賀に行ってなかったら、こういう生活をしていないと思います。失敗によって経験できる人生の綾も、楽しさの1つだと気づかせてくれたのは、自分にとってかなり大きかったと思います。
今は泊まる家も次第に増えているのですが、以前泊めてくださった人の家に1年後に泊まりに行くと、その人の人生にも変化があって、それを観測できるのも楽しいので、海外にはもう行かずにこの生活を死ぬまで続けたいと思っています」 現役・浪人の失敗を通して、現在の生活を前向きに捉える石田さんは、きっとこれからも多くの人と出会い、人生を楽しんでいくのだと思いました。 石田さんの浪人生活の教訓:環境が人の心持ちを変える
濱井 正吾 :教育系ライター