水原一平容疑者 賭博借金の送金は大谷の口座から、勝ちの分は自分名義の口座に振り込ませる
米ロサンゼルスの連邦地検は11日(日本時間12日)、銀行詐欺容疑でドジャース・大谷翔平投手(29)の元通訳・水原一平容疑者(39)を訴追したと発表した。違法賭博の借金返済目的で大谷の口座から胴元に不正送金した金額は、これまで450万ドル(約6億8000万円)以上とされていたが、1600万ドル(約24億5000万円)以上と判明。送金の際は電話で大谷本人になりすまし、通訳の立場を悪用して代理人や会計士を口座から遠ざけるなどの手口も表面化した。 【写真】法廷を出る水原容疑者のフリードマン弁護士 * * * ついに騒動の全容が明らかになった。連邦地検は銀行詐欺容疑で水原容疑者を訴追したと発表。捜査を担当した連邦地検のエストラダ検事はロサンゼルスで会見し、「大谷から信頼された特別な立場を悪用した」と断罪。「大谷は被害者だということを強調したい。送金を許可していない」と大谷の潔白を明らかにした。大谷の口座から胴元へ不正送金された金額は、当初450万ドル以上とされていたが、実際は3倍以上の1600万ドルだった。 米捜査当局が開示した告訴状によると、水原容疑者が違法賭博に手を出したのは21年9月。野球賭博はなかったが、その後約2年で約1万9000回も賭博を行い、頻度は1日平均約25回にも上った。1回に賭けた額は10ドル(約1530円)から16万ドル(約2450万円)で、平均約1万2800万ドル(約196万円)。勝った額が約1億4220万ドル(約218億円)、負けた額が約1億8290万ドル(約280億円)で、損失は約4070万ドル(約62億円)あった。 大谷の口座から送金したのは21年11月~24年1月。21年には大谷の口座の連絡先を水原容疑者の電話番号などに変更した。同口座は、大谷がエンゼルス入りした18年に年俸を受け取るために開設し、水原容疑者もサポート。日本語が話せず大谷と直接やり取りできない代理人や会計士らに対しては、大谷がその口座には誰にも関与してほしくない意向と伝え、詮索されることを防止。事実上、大谷の口座を管理できる状態となり、送金の際は大谷を装って銀行に電話した疑いがある。一方、賭けの勝ち分は自分名義の口座に振り込ませていた。 水原容疑者は3月20日の韓国での開幕戦後にナインに告白し、即刻解雇。大谷は自身の口座から送金されていた事実をその時に初めて知り、同25日(日本時間26日)には「僕はスポーツ賭博にはもちろん関与していないですし、ブックメーカーに送金していたという事実は全くありません」と関与を否定していた。捜査当局は、20年から24年の大谷―水原容疑者間のテキストメッセージ9700ページ分を徹底調査したが、賭博関連の言葉はなかった。 銀行詐欺容疑で有罪となれば最高で禁錮30年、または最高100万ドル(約1億5300万円)の罰金が科せられる。水原容疑者は12日(同13日)にロサンゼルスの連邦地裁へ出廷予定。罪状認否は行われず、保釈保証金を支払って保釈される見通しという。18年の渡米以降、唯一無二の二刀流を支えてきた水原容疑者だったが、常軌を逸したギャンブル依存と金銭感覚に加え、送金を巡る悪質な手口まで白日のもとにさらされた。 ◆訴追 検察が裁判所に犯罪の容疑者であると信じる相当な理由を提示し、刑事責任を追及すること。今回は連邦地裁に捜査官の宣誓証言が提出された。水原容疑者が違法賭博で多額の損失を出し、大谷の銀行口座から不正に送金したとする過程が詳述されている。 ◆銀行詐欺罪 合衆国法典(アメリカの連邦法律公式法令集)では、銀行(金融機関)をだます行為や、詐欺的な手法で金融機関の所有資産を取得した場合などに適用。罰則は100万ドル(約1億5300万円)以下の罰金もしくは30年以下の禁錮などと定められている。
報知新聞社