「箱根駅伝リクルートへの影響は…」高校駅伝“留学生3km区間規制”で長距離界に起こる「変化の予兆」とは? 現王者・佐久長聖駅伝部監督に聞く
箱根有力校のリクルートへの影響は…?
一方で、駅伝界の花形である箱根駅伝を目指す大学からのリクルートへの影響については「各スカウトさんはさまざまな大会を独自の尺度で判断しているはずなので、大きな影響はないのではないか」と語る。とはいえ、インターハイのような大きな大会での結果は、スカウトの印象面に少なからず作用する可能性もあるだろう。 また、今後は高校に入学してくる選手たちの考え方にも変化が出る可能性もあるという。 「例えばウチのようなチームだと今後、新しく入ってくる選手の中に『留学生と戦いたいので中距離を主戦場でやりたいです』というランナーが出る可能性もあります。そうなった時に駅伝との兼ね合いをどうするかは結構、悩みどころではありますね。実際、いまでも中距離メインでやっている選手はルール改正の発表以降、留学生を意識している様子もあります」
今年の都大路ではどんな変化が起きるか
良くも悪くも大きな変化を生みそうな今回のルール改正。では実際の年末の都大路でのレース展開には、どんな影響が出ることが考えられるのだろうか。 「現在、2区3kmの区間記録は7分55秒ですが、留学生が走れば7分30秒台くらいまでは想定しなければいけない。そうなると留学生を擁するチームは、エース区間である1区をある程度凌げれば一気にレースの主導権を握れる可能性があります。 また、もし後半の3km区間である5区に留学生がくるならば、基本的にはチーム7番手の選手が留学生と対峙する必要がでるわけで、それはそれでかなりの差をつけられます。そういう意味で留学生を擁するチームがどこに彼らを起用してくるのかはひとつ大きなポイントにはなるでしょうね」 そういった予想は出来るものの、最長区間への留学生起用が禁止された2008年以降も様々に戦術の変化が起きた。佐久長聖が行ったときには奇策とされた「最長区間の1区ではなく、留学生が走ることが多い3区や4区にエースを置く」というケースも今では珍しくなくなっている。その意味では「最終的にはやってみないと分からない」と高見澤監督は苦笑する。 「でも、それもある意味では楽しみな部分もあります。結局はルールの中でどう戦うかが重要なので、ひょっとしたら全然違う展開になるのかもしれません。もしかしたら、陸連の思惑通りに日本の中距離レベルが急に上がる可能性ももちろんある。実際に回を重ねることで、また新しいレース展開が出てくるのではないでしょうか」 果たして今回のルール改正で、高校駅伝界の勢力図はまた変わっていくのか。今年の年末の都大路に注目したい。
(「オリンピックPRESS」山崎ダイ = 文)
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