女優・芳根京子が迷う10代に贈る言葉「なんでもチャレンジ」
今年も映画にドラマに、芳根京子を見かける機会が多かった。第42回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞し、若手女優の中でも好調ぶりが際立つ一人だ。実力に定評があり、役に没頭するイメージもある。ただいま22歳と、もし大卒者であればちょうど社会人一年生という年頃の芳根に、“仕事”である演技への取り組みについて聞いた。 【写真特集】初心忘れず期待以上で応える女優、芳根京子
新しい作品のたび「これがオーディション」と思う
「初心を忘れないということを、どの現場でも心がけています。デビューの作品でお世話になった方から、『常にまわりに感謝して謙虚な気持ちでいなさい』って教わったんです。そのときも『もちろん!』とは思いましたが、その大切さって仕事を続けるなかでどんどん実感できてくるんですよね。一人じゃ絶対できない仕事で、みんなで作っていく楽しさを知っているからこそ、もっとこうしたい、こうやりたいって欲も出てくるし、それができる環境に感謝しています。新しい作品をやるたび、常に『これがオーディション』と思っています」 12月13日に公開されたアニメ映画「ぼくらの7日間戦争」では姿こそ見えないが、声優という新境地に挑む。1988年に宮沢りえの女優デビュー作となった実写映画「ぼくらの七日間戦争」をベースに、2020年の日本を舞台とした。学校では目立たない歴史マニアの鈴原守を北村匠海が演じ、守が片思いする幼なじみの千代野綾を芳根が演じる。どうアニメを演じきるか。
「以前、『ボス・ベイビー』(2018年公開)という作品で声の吹き替えをやらせていただいたのですが、そのときは英語を日本語に吹き替えて、録りながら尺が合わなかったら別の言葉に変えようとか、話し合いながら作ったんです。ムロツヨシさんとの共演でしたが、一人ずつ録るのでご本人とも会えず、ヘッドホンからムロさんの声だけが聞こえてくるという状況で孤独との闘いだったんですけど、今回は真逆。フルメンバーが朝から晩まで一緒に作っていく形で、綾という女の子に命を吹き込んでいく過程がぜんぜん違いました」 具体的には、どのように違ったのか。 「初めて声優さんたちとご一緒させていただきましたが、使う神経もテクニックも違うんです。北村さんや私のしている役者の仕事は、ロケ地に行って役の服を着て、ヘアメイクをして、環境だったり身に着けたものに助けてもらいながら想像力をふくらませます。ところが今回は映像だけを見て感情移入して、本当に作品の世界に自分がいるようにやらなければいけない。声だけで感情を届けるのがめちゃくちゃ難しく感じました。でもそれが勉強になったし、お芝居を続けるにあたってすごく素敵な時間を過ごさせていただきました」