女優・芳根京子が迷う10代に贈る言葉「なんでもチャレンジ」
誰かの人生を生きるって身も心も削られる
演技に対する高評価が目立つ芳根だが、それは嬉しくもあると同時に大きなプレッシャーでもあるという。 「だからこそ常に120%の力を出したいんです。作品に対して反省はするけれど、後悔はしたくないんです。作品はいつまでも残るもので、『心の支えになりました』と言ってくださる方もいるし、作品を観たことが何かのきっかけになれることもあるかもしれません。そう思ったとき、中途半端なものをお見せすることは失礼だし、今回なら綾っていう女の子の役に選んでもらったからには期待以上のことをしないと自分も悔しいんですよね。そのぶん、息を抜けるプライベートの時間も大事にしたいなと思うようになりました。別の誰かの人生を生きるってすごく身も心も削られたりしますから」 身も心も削られる、とは。 「簡単にいえば、家に帰ってお風呂に入ったらあざまみれになっている、なんてことがしょっちゅうあるんです。アクションではないのですが、ぶつかるシーンとかいろんなシーンをやるとすぐあざを作って、でもそれがやりきったなっていう達成感にもなる。悩みながら演じる難しい役をやったら、精神的に疲れて、それが続くとしんどくて、解消するのも自分で考えながらやらなくてはいけないし、より一層家族や友達との時間を大事にするようになりました。ちょっとスケジュールが辛いなと思っても、会いたいと思った人にちょっと会うことで元気になれたり、自分を取り戻せたり。ずっと役をやっていると自分を見失うこともあるので、より息抜きは大事にするようになりました」
10代ならなんでもチャレンジして
今回、綾を演じて感じたことがある。 「お嬢様で、真面目で、そこは共感できる人は少ないかもしれませんが、いざ綾という女性の内面を見ると等身大の高校生。皆さん、言えない環境ってあると思うんです。SNSのコメントで多くいただくのが、『私も女優さんになりたいけど親に言えないんです』とか『夢があるけど親に反対されるんです』。でも私は、10代だったらなんでも挑戦してほしい。私も高校生からお仕事を始めて、でも料理も好きで料理の道に進みたいと思った時期もありました。だけどこのお仕事をやってみて、合わなかったらやめればいいって思えたんです。10代ならまだ取り戻せます。そこから専門学校だって行けるし、なんでもできる。中学・高校のうちは親に甘えていいと思うし、親はやっぱり一番味方になってくれます。女優になりたいけど親に言えなくて、という方は、ぜひ一回チャレンジしてみて、ってすごく思います。なんか違うなって思ったら違う道へ進めばいいんです。本当に人生何があるかわかりません。10代でまさか朝ドラのヒロインをできるって想像もしていなかったし、やらない後悔よりやって反省するほうがいいなって、私は思っています」
芳根京子は女優という仕事をするにあたって、常に謙虚で初心を忘れず周囲の人々や環境に感謝している。そして何より、可能性を信じている。 (取材・文・写真:志和浩司)