【PFF開催直前!入選監督対談】史上最年少14歳で入選、ひがし沙優監督×犬童一心監督
リモートでも映画は撮れる
――最後におふたりから、今回のPFFで上映される監督作について、これから観る方に一言お願いします。 ひがし 『正しい家族の付き合い方』は、いろんな人にリアルで会わずに作ってる映画なんですけど、皆さんが飽きないように心がけて作りました。いろんな人に協力してもらって作ったので、是非楽しんで見てほしいです。 犬童 リアルに会わないって、どういうこと? ひがし 途中で出てくる姉妹役のふたりは、リモートで撮ってるんです。 犬童 えっ!? あのふたりが覗き込んでる演技を撮ってるときは、ひがしさんはいなかったってこと? ひがし いないです。絶対的に必要な小道具を段ボールで作って送ったんです。演技はお任せして、やってもらいました。 犬童 全然そう見えなかった。カメラ位置が正確だから違和感がない。覗いてる角度や目線も正確だったよね。あれは指示してるの? ひがし 段ボールの向きとか、細かいところは指示してますが、目線とかはお任せしてます。撮ったファイルを送ってもらって、リテイクしたところもあったんですけど。 犬童 なんで会って撮らないの? ひがし 私が大阪で、あちらが東京なので会うことが難しくて。「中2映画プロジェクト」っていう、つんく♂さんが監修している短編映画を作るプロジェクトに以前入っていて、そこで知り合った信頼して任せられる人たちにお願いしたいと思ったんです。 犬童 そうか、そういう考え方もあるのか。ひがしさんが僕の年齢になる頃には映画はどうなってるんだろう……。あと50年先だけど(笑)。 ――では、犬童監督からも上映作品について。 犬童 『気分を変えて?』は、70年代の後半の日本のティーンエイジャーにとって、日本がどういう風に見えていたかがよく映っていると思う。この映画は1978年のキャンディーズの解散の日が舞台になってるんだけど、その10年前の1968年は70年安保闘争とベトナム反戦運動がピークに来てた。そのあとに連合赤軍事件とかがあって、政治離れが進んだ果てに78年になる。ベトナム反戦運動の代わりがキャンディーズの解散になって、時代が変わったということがテーマになっている映画です。 ――ひがし監督の次回作も楽しみですね。 犬童 次の映画は、いつ作るんですか? ひがし 今、作っている最中です。次の映画は『気分を変えて?』と似たところもあるんですけど、映画を作る話なんです。ネット配信の映画講座を見た女の子が映画を作りたいと思い立って、その講座で教えられた手順で映画を作っていくと……というお話です。 ――それはぜひ来年のPFFに出品してもらいましょう(笑)。犬童監督からPFF入選の先輩として、何かアドバイスはありますか? 犬童 表彰式に参加するなら、今回入選した作品の中で気に入った映画があったら、作り手の人と会っておいたほうが良いよ。その出会いがずっと続いたりするから。僕もPFFで知り合った黒沢清さんと50年ぐらい付き合いが続いてる。先週もご飯食べたんだけど。 ひがし えー、すごい。 犬童 自分の周りに映画を作る人がいっぱいいるってすごく良い。ひがしさんはクラスの中では、他の人と違うフィールドにいるかもしれないけど、周りにそういう知り合いがいるようになると、映画を作るのが当たり前になるからね。 ひがし はい! 取材・構成:吉田伊知郎 <イベント情報> 『第46回ぴあフィルムフェスティバル2024』 日程:9月7日(土)~21日(土) 会場:東京・国立映画アーカイブ ※月曜休館 『ぴあフィルムフェスティバル in 京都2024』 日程:11月9日(土)~17日(日) 会場:京都・京都文化博物館 ※月曜休館