努力を重ね続けられるキャプテンの決意。流通経済大柏高校・奈須琉世が携え直した“二冠”への覚悟 【NEXT TEENS FILE.】
試合は序盤から流通経済大柏が攻勢を強める。「自分たちの今年の良さは見てくれている人もわかってくれていると思いますし、市船がそこを対策してくる中でも、自分たちはそれでもやり通すと、今週話し合って決めていました」(奈須)。多彩な個性が織りなす、多彩なパターンのアタックを繰り出し続けると、51分には葛西亮太のゴールで先制。ホームチームが1点のリードを奪う。
だが、市立船橋もワンチャンスをモノにする。63分。奈須の目の前に飛び込んだ伊丹俊元が、豪快なヘディングを叩き込む。「『危ないシーンは何が何でも自分が身体を張る』という責任感を持っていた中で、インターハイの決勝でも伊丹選手に決められて、今回も自分の目の前で決められたので、センターバックとしての実力不足も感じます」。失点を防ぎ切れなかった守備者の後悔が、その口調に滲む。
結果は1-1のドロー。「何が何でも勝ちたいと思っていた中で、引き分けという結果をポジティブに捉えれば、まだプレミアで無敗なんですけど、これからもっと自分たちの課題を突き詰めて、チームを良くしていきたいなと思いました」。必勝を期したリターンマッチは一定の成果を得ながら、リベンジを果たせなかった悔しさも抱える90分間となった。
2年生だった昨シーズンの前半戦。奈須がプレーしていたのは千葉県1部リーグを主戦場とするCチームだったという。「2年生に上がるころの最初はAチームにいたんですけど、なかなか調子が上がらずに苦しんで、夏まではCチームでやらせてもらっていました」
それでも前を向き、モチベーションを高められるだけの意志が、この男にはあった。「自分がCチームにいた時は、とにかく失うものはなかったので、Aチームと紅白戦をやる時に『絶対に何かを見せてやろう』と思っていました。そこで監督の目に留まったり、Aチームの選手に『コイツ、嫌な選手だな』と思わせたら、自分もトップチームに絡めると思っていたので、ミスを怖がらずに、どんどんチャレンジしましたね」
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